2017 Fiscal Year Research-status Report
クラックとミネラル変化に着目したアブフラクションのメカニズム解明
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16K20462
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Research Institution | Tokyo Dental College |
Principal Investigator |
半場 秀典 東京歯科大学, 歯学部, 講師 (90634006)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | NCCL / マイクロCT |
Outline of Annual Research Achievements |
咬耗や加齢変化によって菲薄化したエナメル質に過度な咬合力が加わると,エナメル質から象牙質へ達するマイクロクラックが生じる可能性がある.また,咬合が関与する非う蝕性の歯頸部硬組織欠損(NCCL)は,アブフラクションと定義される.咬合力により歯頸部に応力が加わり、化学的溶解や物理的破壊が引き起こされ、歯頸部歯質の欠損が生じると考えられている。アブフラクション実験モデルをマイクロCT法を用いて経時的解析を行うことで、①酸蝕を想定した脱灰による歯頸部クラックとミネラル変化、②ブラキシズムを想定した静的荷重、動的荷重による歯頸部クラックとミネラル変化についての3次元解析を用いて、アブフラクションの成因の解明を進める。セメントエナメル境(CEJ)付近の脱灰とマイクロクラックの進行の関係について3次元的に非破壊で観察可能なマイクロCTを用いて検討を行った.NCCLを有するヒト抜去小臼歯を人工脱灰液中に0日,7日,14日間浸漬後,マイクロCTを用いて撮影を行った.撮影後のデータを骨梁構造計測ソフトにより3次元構築を行い,歯冠全体のミネラル変化およびマイクロクラックを解析した.また,観察後の試料を包埋,半切し,研磨後にSEM観察を行った.マイクロCTで得られた歯冠側面中央部のエナメル質に観察されたマイクロクラックの最大幅を求め,統計学的処理を行った.脱灰前後のマイクロCT像を比較した結果,全体的なミネラル低下を示し,特に歯冠側面やCEJ下根面の顕著なミネラル低下が認められた.脱灰の進行により,CEJ付近のエナメル質が菲薄化して残存する形態が観察された.マイクロクラック幅の計測の結果,14日間脱灰後の幅は7日後よりも有意に増加した.このことは,脱灰が歯頸部に存在したクラックに沿って進み,CEJ付近のエナメル質の菲薄化と,咬合による歯頸部の歪みによってさらにNCCLが進行する可能性が考えられた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
酸蝕を想定した脱灰による歯頸部クラックとミネラル変化についての関連性について報告した.解析ソフトのバージョンアップを行い,より効率的なクラックの観察が可能となった.
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Strategy for Future Research Activity |
解析モデルを用いて,脱灰条件の変更とブラキシズムを想定した静的荷重,動的荷重による歯頸部クラックとミネラル変化についての検討を行う.
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Causes of Carryover |
解析ソフトウェアの導入が年度後半になったため.
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