2016 Fiscal Year Research-status Report
歯髄細胞のグライコームシフトに着目した修復象牙質形成機序の解明
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16K20469
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Research Institution | Kanagawa Dental College |
Principal Investigator |
室町 幸一郎 神奈川歯科大学, 大学院歯学研究科, 助教 (50637072)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 歯髄・象牙質複合体 / 修復象牙質 / BMP-1 / 糖鎖 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、象牙質・歯髄複合体の防御反応のひとつである修復象牙質形成におけるプロテアーゼを起点とした機序を解明し、歯髄保存療法へ応用することを目的としている。 申請者はこれまでの研究から、①ヒト齲蝕罹患歯においてastacinプロテアーゼファミリーに属するBone morphogenetic protein-1 (BMP-1)の発現が修復象牙質形成に伴って亢進すること、②BMP-1がヒト歯髄培養細胞の膜タンパク質の糖鎖プロファイリングに変化をもたらすこと、を明らかにしている。 糖鎖はタンパク質との結合様式によって2つに大別され、タンパク質中のアスパラギン残基と結合するN型糖鎖と、セリンやスレオニンと結合するO型糖鎖が知られている。これまでの網羅的な解析から、ヒト歯髄培養細胞においてBMP-1添加により膜画分のO型糖鎖の発現が促進することが予想された。 そこで本研究では、膜タンパク質へO型糖鎖を付加する糖転移酵素の遺伝子発現の変化をreal-time PCRにて検索したが、20種類のアイソザイムのうち有意に発現が亢進するものは確認できなかった。 一方で、O型糖鎖に特異的に結合するlectinを利用したlectin blottingを行ったところ、BMP-1添加によりヒト歯髄培養細胞の膜画分のO型糖鎖の発現がわずかに亢進することを確認し、糖鎖プロファイリング解析結果が再現された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、BMP-1によるヒト歯髄培養細胞の膜画分へのO型糖鎖付加の機序解明を目的として、①BMP-1存在下での糖転移酵素の遺伝子発現解析、②O型糖鎖Xの発現と相関する候補遺伝子の探索、③BMP-1存在下での糖転移酵素活性の測定、の3点について検討を行う計画であった。 ①については20種類存在するO型糖鎖の糖転移酵素アイソザイムの遺伝子発現をreal-time PCRにより解析したが、当初の推測と異なり有意な結果は得られなかった。一方で、lectin blottingの結果からは糖鎖プロファイリング解析と相同の結果を得ている。 ②、③については現在研究が進行中である。 従って、本研究はおおむね順調に進展しているものと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究結果から、BMP-1によるO型糖鎖付加の亢進は糖転移酵素遺伝子発現の調節によるものではないと考えられる。 そこで今後は、BMP-1による糖転移酵素の活性調節に焦点を当てて検討を行う。 また、前述の糖鎖プロファイリング解析から発現が低下する糖鎖の存在も確認している。そのため、lectin blottingやreal-time PCRを用いて網羅的解析の裏付けを行い、修復象牙質形成に特異的な糖鎖およびその糖転移酵素の同定を行う。 さらに糖転移酵素の同定後は、RNA干渉によるノックダウンを行い象牙芽細胞マーカーの発現や硬組織形成における糖鎖の役割についても検討を行う。
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Causes of Carryover |
次年度使用額は、当初計画していた英語論文の校正が次年度になったことにより生じており、論文掲載に必要な経費として平成29年度請求額とあわせて使用する予定である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本研究計画を遂行するにあたり、BMP-1の組み換えタンパク質、糖転移酵素活性を測定するためのGlycosyltransferase Activity Kit、次年度の研究計画である糖転移酵素遺伝子のノックダウンを行うためのshRNA constructs in retroviral RFP vectorやLipofectamineを購入する。 本研究で得られた結果は、国内では日本歯科保存学会(春・秋季の年2回開催)、日本歯内療法学会、日本CCNファミリー研究会、海外ではIADR、The World Endodontic Congressでの発表を予定しておりこれを実現するために研究費を使用する。
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Research Products
(5 results)