2016 Fiscal Year Research-status Report
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16K20472
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Research Institution | Asahi University |
Principal Investigator |
小竹 宏朋 朝日大学, 歯学部, 講師 (40440565)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 自己接着 / フロアブルコンポジットレジン |
Outline of Annual Research Achievements |
現在までに試作した自己接着型フロアブルコンポジットレジンは、フィラーとマトリックスレジンを重量比1:1で練板上でを混和して作成しているが、約5MPaの象牙質接着力が得られている。しかし、気泡の混入部からの試作レジンの混合破壊(凝集破壊と界面破壊)、接着力の不安定さが明らかになった。そこで、一般に市販されているフロアブルコンポジットレジンの製法にならい、少量の材料で攪拌・分散、脱泡を効率的に行える自転公転ミキサーを用いて試作レジンを作製し、引張り接着強さ試験に供した。 引張り接着強さ試験はヒト抜去歯の象牙質を用いて、#800の耐水研磨紙で表面が平坦になるように研磨する。平坦化した象牙質上に内径3.0mm,深さ2.0mmのクリアレジンモールドを固定し、試作レジンを填入し、光照射を行い重合させる。試料数は15個とし、作製した試料片は、37℃湿度99%保管箱に24時間保管後、引張り接着試験用アダプターに固定し、精密万能試験機(オートグラフAGS-X、SHIMADZU)を使用し、クロスヘッドスピード0.5mm/minの条件で引張り、破断時の値を単位面積当たりに換算し引張り接着強さを測定した。引張り接着強さ試験後の破壊形態及びその破断面の様相を観察するために象牙質側破断面を実態顕微鏡にて観察した。 トクヤマボンドフォースII(トクヤマ)を用いた詩作レジンの引張り接着強さ試験の結果の平均値と標準偏差は3.1±2.7MPaと過去に行った値と比較して低いものとなった。また、最大値は8.2MPa、最小値は0.4MPaと非常にばらつきが大きくなった。 実態顕微鏡観察にて破断面の界面破壊は9試料、界面破壊と詩作レジンの凝集破壊が存在する混合破壊が6試料であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
自転公転ミキサー(あわとり練太郎ARE-310)を新規に購入し、市販のワンステップボンディング材のレジン成分にフィラーを加え自転公転ミキサーで練和を行い試作自己接着フロアブルコンポジットレジンを作製し象牙質引張り接着強さ試験に供したが、これまでの試作レジンのような引張り接着強さが得られなかった。これは以下のことが考えられる。 ・我々が今まで試作自己接着フロアブルコンポジットレジンに使用してきた市販のボンディング材が販売を終了し後継品を使用したため過去の試験結果と異なった。 ・市販品を使用した実験系では引張り接着強さの向上に限界があり、新たに接着性モノマーを混入した次世代の試作自己接着フロアブルコンポジットレジンを作製する必要がある。 ・平成28年度後半に実験を行う研究室がある朝日大学の建屋に耐震工事が施された。その結果、工事期間には精密万能試験機(オートグラフAGS-X、SHIMADZU)や自転公転ミキサー(あわとり練太郎ARE-310)を含むすべての実験器具・機械が暫間的に別の場所に移動され実験環境が整わないことからばらつきが大きくなった。 以上のことから実験の進捗状況はやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
当講座の主任教授である堀田正人教授と協議の結果、平成29年度の推進方策は以下のようになった。 ・現在市販されているボンディングシステムを使用し、安定した実験環境で試作自己接着フロアブルコンポジットレジンを作製し引張り接着強さ試験に供し、コントロールとしてFusio(ペントロンジャパン)との比較を行う。 ・市販品にとどまらず、各種接着性モノマーを含む試作自己接着フロアブルコンポジットレジンを作製する。 ・引張り接着強さ試験結果の良好な試作自己接着フロアブルコンポジットレジンのフィラーの配合比、各レジン成分を配合比を変えさまざまな条件で試作レジンを作製し実験に供試する。また、試作レジンは均一な練和により気泡の混入が大きく減じられることが予想されることから、各種機械的強度測定も行う。 以上の内容を平成29年度に行う予定である。
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Causes of Carryover |
想定される試験結果が得られなかったことに加え朝日大学研究棟の耐震工事における研究の遅延が発生したことで、当初の計画で必要であった消耗品の購入が少なかったこと。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度に消費しなかった物品を購入する必要がある。
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