2016 Fiscal Year Research-status Report
MMPs解析における象牙質・歯髄複合体組織破壊抑制と新規接着システムの開発
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16K20475
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Research Institution | Osaka Dental University |
Principal Investigator |
竹内 摂 大阪歯科大学, 歯学部, 助教 (70548320)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ヒト歯髄由来線維芽細胞 / MMPs / シグナル伝達 / コンポジットレジン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はう蝕進展による歯髄組織の炎症抑制とMMPsの接着に及ぼす影響の解明である。象牙質・歯髄複合体に存在する細胞外マトリックス分解酵素が、象牙質破壊の解明に焦点をあて、①炎症性サイトカイン刺激による歯髄反応とMMPs産生の解析 ②脱灰象牙質より産生されるMMPsの解析 ③脱灰象牙質由来MMPsが象牙質・歯髄複合体破壊に及ぼす影響 ④MMPs阻害剤が象牙質歯髄複合体破壊及び接着修復に及ぼす影響について研究計画を立案し、平成28年度は炎症性サイトカイン刺激による歯髄の反応とMMPs産生の解析を行うため、象牙質より溶出するサイトカイン・MMPsの解析を中心に研究を行った。 β-cateninはcadherinの細胞質ドメインに結合している分子の1つである。β-cateninはcadherin をアクチンフィラメントにつなぎ、細胞接着活性に大きな役割を果たしている。Wntは細胞膜受容体に結合することにより①β-catenin経路、②PCP経路、③Ca2+経路により細胞内シグナル経路を活性化し、細胞増殖、分化、運動、を制御することは知られている。またWnt1はJNKの活性化を介してpro-matrix metaroprotease3の発現を誘導する。Tankyrase阻害剤であるXAV939を用いてヒト歯髄由来線維芽細胞におけるβ-catenin経路とMMPs産生への影響を検討した。 β-cateninの発現はXAV刺激により濃度依存的に減少し、β-catenin発現の減少に反してMMP-3の産生は上昇した。DQコラーゲン、DQゼラチンの分解はXAV939刺激により促進した。またGM6001により分解は抑制された。MMPsの発現はβ-catenin経路が関与していることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度は炎症性サイトカイン刺激による歯髄の反応とMMPs産生の解析を行うため、象牙質より溶出するサイトカイン・MMPsの解析を中心に研究を行った。Tankyrase阻害剤であるXAV939を用いてヒト歯髄由来線維芽細胞におけるβ-catenin経路とMMPs産生への影響を検討を行い、β-cateninの発現はXAV刺激により濃度依存的に減少し、β-catenin発現の減少に反してMMP-3の産生は上昇することを確認した。 DQコラーゲン、DQゼラチンの分解はXAV939刺激により促進した。またGM6001により分解は抑制された。MMPsの発現はβ-catenin経路が関与していることが示唆された。さらなる検討を重ね平成29年度は脱灰象牙質より産生されるMMPsについて検討していく。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は研究目的の1つである炎症性サイトカイン刺激による歯髄反応とMMPs産生の解析に加え、脱灰象牙質より産生されるMMPsの解析を行う予定である。 象牙質を構成する有機成分の大部分がコラーゲンであり、う蝕の進行には無機成分の脱灰とコラーゲンの分解が必要である。細菌性のコラゲナーゼに加え、象牙質内在性のコラゲナーゼもう蝕の進行に関与する可能性がある。樹脂含浸層を構成するコラーゲンがMMPsによる分解を受けると二次う蝕や修復物の脱離につながる。象牙質・歯髄複合体由来の内在性MMPsが象牙質破壊と接着修復の成否に及ぼす影響について検討していく予定である。
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Causes of Carryover |
平成28年度の研究発表は予定通りに日本歯科保存学会で行えたが、予算として計上していた出張費を使用しなかったことに加え、以前より行っていた研究の継続部分での内容が多く新規に抗体等の購入することなく、消耗品等の購入で研究を進行できたことが次年度使用となった理由である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度は当初の予定通りに研究を行い、平成28年度購入しなかった抗体等を購入し研究を進めていく予定である。
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