2017 Fiscal Year Research-status Report
エムドゲイン由来合成ペプチドを応用した新規覆髄材料の創製
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16K20476
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Research Institution | Osaka Dental University |
Principal Investigator |
嘉藤 弘仁 大阪歯科大学, 歯学部, 助教 (70745348)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | アメロジェニン |
Outline of Annual Research Achievements |
EMDを用いた基礎研究からアメロジェニンexon5が硬組織誘導能を有することを発見した. その塩基配列を人工的に合成することによって,硬組織誘導能を有する EMD由来合成ペプチド(SP)を作製した. 本研究の目的は象牙質形成に重要な役割を果たすヒト歯髄幹細胞 (HDPSC) に対するSPの影響について検討を行った. SPのHDPSCに対する細胞増殖能への影響はSP添加 3日, 5日, 7日の培養後の評価において, SP添加群では対照群と比較して有意に高い値を示し, 100 ng/ml濃度のSP添加群が最も有意に高い値を示した. またSP添加群において, HDPSCに対する細胞遊走能を有意に促進することが明らかになった. HDPSCに対するEMD由来合成ペプチドの硬組織分化への影響は培養開始7日, 14日においてALP活性, カルシウム析出量, 石灰化物形成能を有意に促進し, 培養開始7日においてSP添加群で有意にカルシウム・リン比の上昇が認められた. さらに, SP添加群においてERK1/2, JNK, p-38タンパク発現のリン酸化が誘導されることが明らかになった. SPはHDPSCの細胞増殖能, 細胞遊走能, および硬組織分化能を促進することが示唆された. またSP添加群ではカルシウム・リン比の上昇が認められたことからSPは早期に成熟した硬組織形成を誘導することが示唆された. さらにSP添加群においてERK1/2, JNK, p-38タンパク発現のリン酸化が誘導されることからSPはMAPK経路のリン酸化を誘導する可能性が示唆された. したがって, SPはHDPSCの硬組織形成能を促進し, 歯髄保存療法における覆髄材料として有用である可能性が示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
SPがHDPSCの細胞増殖能、硬組織形成能を促進することを明らかにした。本実験は当初の予定どおり、おおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
アメロジェニンやエムドゲインはERK経路を介して、細胞増殖能や硬組織形成能を促進するという報告がある。今後の研究の推進方策として、SPのDPSCに対する作用機序の検討を行っていく予定である。
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Causes of Carryover |
ERK経路の関与についての詳細な検討が必要であるため。
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[Journal Article] 高血糖状態が骨髄由来幹細胞や歯根膜幹細胞の硬組織形成に与える影響2017
Author(s)
嘉藤 弘仁, 田口 洋一郎, 山脇 勲, 奥田 麻貴子, 小石 玲子, 野口 正皓, 山内 伸浩, 今井 一貴, 高橋 宰達, 田中 昭男, 梅田 誠
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Journal Title
日本歯周病学会会誌
Volume: 59
Pages: 118-124
DOI
Peer Reviewed
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