2016 Fiscal Year Research-status Report
変形性関節症の発症と進展におけるWISP1遺伝子の機能解析
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16K20499
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
前田 あずさ 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 助教 (70754662)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 変形性関節症 / 軟骨細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
高齢化が進む我が国で国民が要支援となる主要な原因である変形性関節症 (OA) はいまだ発生原因が明らかとなっておらず,その原因遺伝子のひとつであると推測されているWISP1 遺伝子に着目し,変形性関節症の発症ならびに病態への関わりを解明することを目的とした. 過去の報告よりWISP1はBMPが属するTGF-βファミリーを制御していること,OA患者の軟骨組織においてBMPとそのアンタゴニストの発現が亢進することが知られているため,今回軟骨細胞分化過程におけるWISP1とBMP-2のネガティブ・フィードバック機構との関連を検討した. ヒト間葉系幹細胞 (hBMSCs) を100 ng/ml BMP-2含有軟骨細胞分化培地で4週間pellet培養し,BMPアンタゴニストの経時的な遺伝子発現パターンを定量性RT-PCR法にて解析したところ,NOG,CHORD,GREM1の遺伝子発現量は培養時間の経過と共に有意に上昇した. Sebaldらが作製したBMPアンタゴニストの機能阻害剤L51P (BMPアンタゴニストへの結合能は有するがⅠ型BMP受容体への結合能が低下したBMP変異体) を用い,軟骨細胞分化過程におけるBMPアンタゴニスト阻害実験をhBMSCsのpellet培養法にて行ったところ,培養3週間後にBMP-2/L51P共刺激群において軟骨細胞分化マーカーであるCOL2A1,ACANの遺伝子発現が有意に上昇した. 以上より,軟骨細胞分化過程においてもBMPネガティブ・フィードバック機構が働き,軟骨細胞の分化と共に発現が上昇するBMPアンタゴニストにより軟骨細胞分化が制御されていることが示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度の結果より,WISP1が間接的にではあるものの,BMPネガティブ・フィードバック機構を介してhBMSCsの軟骨細胞分化を制御している可能性が示唆された.
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度はhBMSCsにおけるBMPネガティブ・フィードバック機構を介した軟骨細胞分化の制御にWISP1が直接関与しているかどうかを検討する.その後,OAモデル細胞ならびにOAモデルマウスを用いてWISP1が軟骨細胞分化に関与しているかどうかを検討する.
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