2017 Fiscal Year Research-status Report
止血・骨再建を一挙に可能にする炭酸アパタイト系骨セメントの創製
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16K20505
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
杉浦 悠紀 九州大学, 歯学研究院, 助教 (70755040)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 炭酸アパタイト / 成型体 / 骨セメント / リン酸カルシウム / 生体材料 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、炭酸アパタイトセメントの骨材となる、炭酸アパタイト顆粒の材料科学的な最適化を行った。昨年度は、水熱処理にて炭酸アパタイトを調製したが、今年度はより製造を意識し、100℃以下での炭酸アパタイト調製について検討した。さらに、炭酸アパタイト顆粒は、骨欠損部に埋入する際に、ある程度の強度を持っていないと、自重や、軟組織の張力によって崩壊してしまう。このため、強度を前年度より高めた炭酸アパタイト顆粒の調製を目指した。 炭酸アパタイト前駆体として、昨年度も検討したリン酸水素カルシウム二水和物(DCPD)、リン酸三カルシウムα相(α-TCP)、炭酸カルシウムを検討した。DCPDからは、80℃以上の温度であれば炭酸溶液中で炭酸アパタイトへと組成変換することが分かった。その一方で他の前駆体では、80℃以上の温度で組成変換を試みても、1㎜以上のサイズの炭酸アパタイト成型体を調製することは困難であった。 得られたDCPD由来の炭酸アパタイト成型体のダイアメトラル引張強さは、2MPa程度であったため、この強度を増大させる手法について検討した。 まず、使用する炭酸塩を、炭酸水素ナトリウムから、炭酸ナトリウムへと変更したところ、強度が炭酸水素ナトリウム中で組成変換したものに比べ、同じ炭酸濃度の際に優位に増大することが分かった。また、結晶子内への炭酸の入り方についても違いがあることが分かった。論文を検索したところ、これについての検討をした例がなかったため、まずこの内容にて論文を執筆すべく、必要な材料科学的実験を進めている。 来年度は、得られた前駆体、作り方が異なる炭酸アパタイト成型体について、実験動物に作成した骨欠損部に埋入し、炭酸アパタイト成型体の骨置換性についての評価を行うとともに、セメントとしての有用性についてさらに検討を進めていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
1年目に終わらせる予定であった、炭酸アパタイト成型体の調製に手間取っており、自己硬化性の付与についての検討が完了しておらず、2年目いっぱいかかってしまった。このため、細胞実験については最小限に留め、動物実験による骨再建、骨再生能の評価を先んじて行っていく。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は、得られた前駆体、作り方が異なる炭酸アパタイト成型体について、実験動物に作成した骨欠損部に埋入し、炭酸アパタイト成型体の骨置換性についての評価を行うとともに、セメントとしての有用性についてさらに検討を進めていく。
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Research Products
(1 results)