2016 Fiscal Year Research-status Report
インプラントの早期機能、長期的維持を可能にする新規表面処理法の開発
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16K20506
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
大城 和可奈 九州大学, 大学病院, 助教 (00757990)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | カルシウム水熱処理 / チタン |
Outline of Annual Research Achievements |
チタンインプラントは高い審美性と天然歯と同等の咀嚼力が得られるため、欠損補綴の主要な選択肢の一つとなっている。しかし、治療期間の長さが欠点であり治療期間の短縮が図られている。それに伴い、より早く確実な骨結合の獲得が望まれている。また、インプラント周囲軟組織が天然歯の歯周組織より外来因子に対する抵抗性が低いことが問題となっている。これらの問題点を解決する方法として、我々はカルシウム水熱処理に着目した。カルシウム水熱処理はチタンを塩化カルシウム水溶液中で水熱処理を行うものであり、チタンの表面性状をほとんど変化させることなくチタンとカルシウムの原子レベルでの強固な結合を得ることができる。 チタンのカルシウム修飾が骨伝導能の向上や軟組織細胞のチタンとの接着を促進することが過去に報告されているため、カルシウム水熱処理によってインプラントの骨結合および軟組織封鎖性の向上が得られるとの仮説のもと本研究を開始した。 本研究の目的はチタン材料に対するカルシウム水熱処理の影響を解析することである。カルシウムは細胞が細胞外基質に接着する際に重要な役割を果たす。そこで、本手法では高温、高圧の水熱環境下でチタン材料にカルシウムを修飾することで細胞接着に有利に働くのではないかと推測し検証を行った。 当該研究の成果は2016年度日本口腔インプラント学会学術大会、2017年3月に行われた IADR General Session & Exhibition にて発表した。 また、当該研究の成果の一部は2016年8月にStem Cell Research & Therapy誌にて報告した。 これらの成果より、カルシウム水熱処理の有効性を確認することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
カルシウム水熱処理の有効性を示すデータが得られており、国内外の学会で発表をすることができた。また、専門誌でも論文が受理されたことで順調に研究が進行していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は細胞実験、動物実験、細菌付着の解析を進めていき、さらなるデータの蓄積を目指す。
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Causes of Carryover |
培養関係器具を購入予定であったが、十分に確保できたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
培養実験、動物実験を進めていく。さらに次世代シーケンサー等の解析を行う。
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