2016 Fiscal Year Research-status Report
抗真菌性および易除去性を有するクリームタイプ義歯安定剤の開発
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16K20509
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
吉田 和弘 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 助教 (70530418)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 接合力 / 成分比 / 粉液比 / 接合間距離 |
Outline of Annual Research Achievements |
「抗真菌性および易除去性を有するクリームタイプ義歯安定剤の開発」を目指し、平成28年度は義歯安定剤の各成分が接合力に及ぼす影響ついて検討を行った。試料となる義歯安定剤の成分には基本的な成分であるカルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC-Na)およびメトキシエチレン無水マレイン酸共重合体(PVM-MA)の2種類を用い、各成分の割合の異なる5種類(100:0、75:25、50:50、25:75および0:100)の試料を作製した。さらに当初の計画に加え、試料の粉液比および接合間距離も因子として追加した。粉液比はISO規格を基準に4種類(0.125、0.250、0.375および0.500)、接合間距離は適合良好な義歯および不適合な義歯を想定した2種類(0.1および0.5mm)を用いた。 接合力の測定には万能材料試験機(EZ Test、島津製作所)を用い、クロスヘッドスピード5mm/minで引っ張り試験を行い、最大接合力を記録した。得られた結果について3元配置分散分析を用いて統計処理を行い、成分比、粉液比および接合間距離の3因子が接合力に及ぼす影響を解析した。 結果は、すべての因子およびその交互作用において有意差を認めた(p<0.05)。粉液比が大きく、接合間距離が小さい方が高い接合力を示す傾向にあった。また、粉液比や接合間距離を変化させても、CMC-Naの割合が高いほど接合力が高くなる傾向にあった。各因子の寄与率では、成分比が59.2%と最も高く、CMC-NaとPVM-MAの割合が最も接合力に影響を及ぼした。次いで粉液比が19.8%と高く、接合間距離は8.3%であった。 平成28年度における結果より、CMA-NaおよびPVM-MAの成分比が最も接合力に影響を及ぼしていることが示唆された。今後は各試料の粘度および動的粘弾性について検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では義歯安定剤の各成分が異なる試料を作製し、接合力、粘度および動的粘弾性の3種類の物性について影響を検討する予定であったが、測定を行ったのは接合力のみとなった。これについては、物性に及ぼす因子として各成分比に加えて、粉液比および接合間距離の2因子を追加したため、試料数が増加したためであると考えられる。測定項目についてはやや遅れているが、全体的にはおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
義歯安定剤の粉液比および使用時の接合間距離についても検討する必要があると考え、当初の計画にこの2因子を追加するように計画の修正を行った。そのため初年度に測定予定であった粘度および動的粘弾性の測定を次年度に行うように変更したため、これらの物性についての影響を検討していく予定である。
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Causes of Carryover |
初年度に測定予定であった物性について、次年度に測定するように変更した項目があるため、試料作製に掛かる物品費が一部次年度に使用する必要が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
初年度に実施する予定であった測定項目について、その試料を作製するために使用する予定である。
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Research Products
(2 results)