2016 Fiscal Year Research-status Report
ラジカル殺菌技術による再骨結合獲得を目的するインプラント周囲炎治療法の基礎的検討
Project/Area Number |
16K20531
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
白土 翠 東北大学, 歯学研究科, 研究支援者 (60708501)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ヒドロキシルラジカル / 過酸化水素光分解 / インプラント周囲炎 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、過酸化水素光分解殺菌法を応用した新しいインプラント周囲炎治療法確立のための基礎データの採取を目的として行っている。 28年度は、チタン試料の処理条件確立と過酸化水素光分解殺菌が表面性状に与える影響について検討した。チタンはGrade 4 の円板状(φ=5mm、厚さ:1 mm)を用い、サンドブラスト処理を行った。サンドブラストは250 μmのアルミナを0.4 MPaで噴射し、硫酸エッチング処理をすることで市販インプラントに近い表面性状を再現した。表面性状は超精密非接触三次元形状評価装置で、算術平均表面粗さ(Sa)を測定して各実験に用いた。 チタン試料を3% 過酸化水素に浸漬後、365 nmのLEDを5分照射して過酸化水素光分解処理が与える影響を検討した。処理前と処理後の試料を様々な観点から計測し比較したところ、処理による影響と考えられる変化は確認されなかった。更に、37℃インキュベーター中に4週間保持してエイジングさせたチタン試料を準備し、加工直後のものと比較した。過酸化水素光分解処理を行う前のチタン試料においては、エイジングさせた表面のカーボン比率が加工直後のものよりも著しく高くなっていた。一方、過酸化水素光分解処理後には加工直後の試料と同程度まで低下した。また、エイジングにより疎水性に傾いていた表面は、処理することにより親水性の大幅な回復が認められた。 過酸化水素光分解殺菌法はインプラント表面に物理的な影響を与えずに行えること、処理によりインプラント表面のカーボン汚染を除去できるだけでなく親水性の回復も見込めることが示唆された。本知見は、インプラント周囲炎治療に過酸化水素光分解殺菌法を応用するための重要な基礎データである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
インプラントに類似した表面性状をチタン試料上で再現し、さらに過酸化水素光分解処理がチタン表面に与える影響を含め詳細なデータが得られているため。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究で今後の研究に必要となる詳細なデータが得られており、それをもとに申請している計画に則り実験を遂行していく。
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Causes of Carryover |
28年度は、チタン試料上にバイオフィルムを作製し殺菌実験を行う計画であったが、殺菌試験前に当初の計画よりもより詳細に表面性状を検討するとともに、過酸化水素光分解処理がチタンに与える影響を確認する必要があり、計画していた殺菌試験を次年度以降に持ち越したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
チタン試料表面の詳細なデータとともに、過酸化水素光分解処理がチタンに与える影響について確認しているため、次年度以降にバイオフィルムモデルの確立および殺菌試験を計画していた予算を使用して遂行する。
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