2017 Fiscal Year Research-status Report
ラジカル殺菌技術による再骨結合獲得を目的するインプラント周囲炎治療法の基礎的検討
Project/Area Number |
16K20531
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
白土 翠 東北大学, 歯学研究科, 研究支援者 (60708501)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ヒドロキシルラジカル / 過酸化水素光分解 / インプラント周囲炎 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、ラジカル殺菌技術を応用した新しいインプラント周囲炎治療法確立のための基礎データ採取を目的としている。 29年度は、28年度に得られた知見をもとにチタン試料表面における実験的バイオフィルムモデルの確立およびそれを用いた殺菌試験、更に骨芽細胞を用いた細胞試験を行った。 殺菌試験には、歯周病原菌の1つであるAggregatibacter actinomycetemcomitans のバイオフィルムを用いた。試験に先立ち、細菌と液体培地(酵母エキス添加 BHI 液体培地)の入った48wellにチタン試料を入れ、2日間嫌気培養を行うことでチタン試料上にバイオフィルム形成を試みた。共焦点レーザー顕微鏡にて観察したところ、試料上にバイオフィルム形成が認められ、安定的なバイオフィルムモデルを確立することができた。殺菌試験では、365nmおよび400nmのLEDを光源とし、過酸化水素は3%を用いた。臨床的な治療効果を評価するため、従来のインプラント周囲炎の治療で用いられている超音波スケーリングによる処置と、本殺菌法の比較検討を行った。更に、消毒剤であるクロルヘキシジンおよびポピドンヨードとの比較も行った。試験後、チタン試料表面に残った細菌を回収しBHI寒天培地にて培養し、生菌数の評価を行った。その結果、本殺菌法は超音波スケーリング単独処置や薬剤による処置よりも高い殺菌効果が認められた。また、インプラント周囲炎の治療の場合、インプラント表面に傷をつけないために特殊なスケーラーチップが用いられており、十分な細菌除去ができていないことが懸念されていたが、本殺菌法と併用することにより表面を傷つけることなく高い治療効果が得られることが示唆された。 殺菌試験から得られた詳細なデータをもとに、骨芽細胞を用いた予備試験に着手しており、本試験に向けた条件設定等を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
インプラント表面性状を再現した試料上でのバイオフィルムモデルを確立し、それを使用した細菌試験から臨床応用に向けての有益なデータを詳細に得られている。また細胞試験にも着手できており、これらの状況からIn vitro での十分なデータ構築が進んでいると判断できるため。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の大きな目的であるラジカル殺菌技術のインプラント周囲炎治療への臨床応用に向けた基礎的データ収集において、これまでの研究でインプラント表面性状を模した試料の検討やそれを用いた細菌試験を行っており、細胞試験の一部にも着手できていることから、研究を進めていくうえで必要となる詳細なデータを順調に構築している。 今後、得たデータをもとに申請した計画に従って更なる実験を行っていく。
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Causes of Carryover |
28年度に得られたチタン試料の詳細なデータにより、殺菌試験においても当初計画よりも多くの知見を得ることができた。それに伴い、検討項目は多岐に渡り細胞試験の一部を次年度以降に持ち越したため。 30年度は、これまでに得られたより詳細なデータを活用し、持ち越した予算のもと、計画していた細胞試験を実行する。
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