2016 Fiscal Year Research-status Report
歯髄誘導因子の同定および微小環境再構築による歯髄再生
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16K20549
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Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
林 勇輝 愛知学院大学, 歯学部, 助教 (10756547)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 歯髄再生 / 微小環境 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は象牙質再生誘導因子を特定し、その応用により歯髄再生に必要な歯根の微小環境を再現することで歯髄再生の適応症を広げることを目的とする。本年度は各種処理を行った歯根を異所性移植し、その再生能を比較することでどの処理区分に再生誘導因子が含まれているか検討した。 まず歯根を1.塩酸処理、2.グアニジン塩酸処理、3.EDTA処理を行った。それぞれを異所性に移植し、その歯髄再生量、血管誘導能、象牙質誘導能を免疫組織染色あるいはin situ hybridyzationにて比較した。その結果、3の処理を行うことにより歯髄再生能は極端に減少した。 次いで、1.2.3.それぞれをオートクレーブによる失活歯根に凍結乾燥にて再付着させた。同様にそれぞれをそれぞれを異所性に移植し、その歯髄再生量、血管誘導能、象牙質誘導能を免疫組織染色あるいはin situ hybridyzationにて比較した。その結果、歯髄再生量および象牙質誘導能がEDTA抽出区分の再付着により回復していた。 よって上記結果から、EDTA抽出区分に象牙質誘導因子が含まれていると推定できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の計画として挙げた異所性移植とその解析は順調に終了している。 塩酸・グアニジン塩酸処理した歯根を用い異所性移植を行った場合、歯髄再生量に著変はなかったが、EDTA処理した歯根を用い異所性移植を行った場合には歯髄再生量・血管新生能・象牙質再生能が有意に減少した。またそれらの因子をオートクレーブ処理により失活させた歯根に再付着させた場合に歯髄再生量が回復した。よって上記結果から、EDTA抽出区分に象牙質誘導因子が含まれていると推定できた。またその原因として、血管新生能の著変はなく象牙質再生能のみ改善したことからEDTA画分には象牙質形成に関与する因子が含まれていることが考えられる。さらにEDTA抽出区分を濃縮し、歯髄幹細胞に作用させると、象牙質誘導能が促進されることも明らかとした。
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Strategy for Future Research Activity |
マウス筋芽細胞(C2C12)に対し、抽出液、歯髄幹細胞培養上清5µg/mlを単独または混合して添加し、遊走促進能、付着促進能、増殖促進能、血管新生能、象牙質・歯根膜誘導促進能を比較する。 遊走促進能:TAXIScan-FLを用いた解析を行う。付着促進能:スライスしたブタ歯上に細胞を播種し、24時間後付着細胞をカウントする。増殖促進能:Tetra Color ONEを添加し2、12、24時間後に吸光度450nmにて測定する。血管新生能:アスコルビン酸、ヒドロコルチゾン、ヘパリンを添加してDMEM、2%FBS下にて21日間培養する。培養後、VE-cadherinにて免疫染色を行う。象牙質誘導能:アリザリン染色により解析する。また、スライスしたブタ歯上に細胞を播種し、21日後、共焦点レーザー顕微鏡にて形態を観察する。 1) イオン交換クロマトグラフィーを用いて抽出液をフラクションに分ける。2) 各フラクションをブタ歯根に再付着させ、異所性移植を用いて、再生能を比較する。さらに、上記と同様の添加実験を各フラクションを用いて行う。4) 再生能の高いフラクションを質量分析し、蛋白質同定する。5)リコンビナント蛋白質を作製し、異所性歯根移植により、再生能を歯髄幹細胞移植の場合と比較する。また上記と同様の添加実験を、リコンビナント蛋白を用いて行う。
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Research Products
(2 results)