2017 Fiscal Year Research-status Report
The elucidation of stem cell in salivary gland reproduction by using drug
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16K20573
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
皆木 瞳 大阪大学, 歯学研究科, 特任研究員 (70754810)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 唾液腺 |
Outline of Annual Research Achievements |
口腔乾燥患者に対しムスカリン受容体刺激薬ピロカルピン塩酸塩(以下ピロカルピン)を推奨量服用すると、発汗や嘔気などの副作用が発現し治療継続が困難となる場合がある。しかしながら、長期間ピロカルピンを服用することで、口腔乾燥症状は緩和され、その後も良好な臨床経過をたどることも珍しくない。本研究はピロカルピンを長期間服用することで、唾液腺の質そのものが変化するのではないかというところから着想したものである。この研究は外来患者での調査研究と、マウスを用いた実験研究で構成される。まずは患者での調査を行った。大阪大学歯学部附属病院口腔乾燥症外来では副作用軽減を目的に投与量を少量から開始する方法を採用しており、今回投与量およびパターンを検証する目的で、有効性と安全性を後方視的に検討した。4年間に大阪大学歯学部附属病院ドライマウス外来にてピロカルピンによる服用治療を行ったシェーグレン患者について診療録を参考に患者背景・服用量・副作用・サクソンテストによる唾液分泌量・VASを調査した。さらにさらに、ピロカルピン継続服用の有効性と機序を検討するため、マウスによる分子生物学的解析を行った。ICRマウスにピロカルピンを2週間経口投与し、唾液分泌に対する反復経口投与の効果および唾液腺組織の唾液腺マーカーと前駆細胞マーカーの発現比較を行った。同時にシェーグレン症候群モデルマウスであるNFL/sldマウスを用いて同様の検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
学会発表等を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
患者での調査の結果、症例は20例(男:女=3:17)で、6例は副作用の出現などにより服用中止となったが、14例では10か月間の服用が可能であった。平均服用量は5.25±1.3㎎/日であり推奨される用量より少なかった。また服用量の減少に伴う唾液分泌量や自覚症状の悪化はすべての症例で認めなかった。またマウスの実験では、ピロカルピンを反復投与すると単回投与と比べて唾液分泌量が有意に増加しており、唾液腺マーカーおよび前駆細胞マーカーの発現増加を認めた。推奨量より少ないピロカルピン服用量で唾液分泌能や自覚症状の緩和が保たれており、服用量を調整することがQOLに寄与している可能性があると考えられた。動物実験により唾液分泌量の維持には反復投与が重要で、唾液腺前駆細胞の活性化が示唆された。以上の結果からピロカルピンは、患者に合わせた適切な量を設定し継続することが有効であり、前駆細胞の活性化に寄与している可能性が示唆された。今後はマウスでの実験をより推進し、唾液腺そのものの評価を行っていく予定である。
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Causes of Carryover |
産休育休を取得したため。
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Research Products
(2 results)