2019 Fiscal Year Research-status Report
口腔腫瘍悪性化および増殖と環境因子との相関-TRPチャネルをめぐって-
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16K20576
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
榊原 晶子 神戸大学, 医学部附属病院, 助教 (00569866)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | TRPVイオンチャネル |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでのわれわれの研究では、生体から得られた口腔粘膜組織(舌、歯肉、頬粘膜、口底)の癌細胞と正常粘膜細胞を用いてTRPV1-4イオンチャネルの発現が癌と正常組織でどのように特徴付けられるのかを検証してきた。以下がその結果である。real time PCR法および、免疫組織化学染色法により、①TRPV1,2,3,4全てにおいて、ヒト口腔正常粘膜(舌、歯肉、頬粘膜、口底)での発現が確認。②②口腔扁平上皮癌と口腔正常粘膜におけるTRPV1,2,3,4の発現量は、扁平上皮癌の方が有意に増加。③TRPV1,2,3,4全てにおいて、ヒト口腔正常粘で‘飲酒あり’群の方が、‘飲酒なし’群よりも有意に増加。④TRPV2,3,4において、ヒト口腔正常粘膜で‘喫煙あり’群の方が、‘喫煙なし’群よりも有意に増加しており、TRPV1も増加傾向。することを確認している。 これらの研究は、生体から採取した粘膜癌細胞、粘膜正常細胞から採取した組織で行った。培養細胞においても同様な発現が認められるのかを検証中である。生体から採取した組織から細胞を単離しようと試みたが、困難であったため、細胞提供を受けて、培養している。正常粘膜細胞の培地と癌細胞の培地でまずは光刺激でカルシウムイオンチャネルが開くことを確認しているところである。今後は、TRPVイオンチャネルの1-4のそれぞれに特有のチャネルを開く促進剤(例:カプサイシンやさまざまな温度設定)や抑制剤があるため、おのおので検証していくところであり、再現性がまだ得られていないため、検証を重ねていくところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
これまでに、採取した癌組織と正常組織から各々のRNAを抽出し、TRPV1~4の発現について検証してきた。さらに、培養癌細胞(HSC3)と培養正常細胞(HOMK)の各々の場合は、正常細胞については、正常組織と同様のTRPV1~4の発現様式をとる結果が得られている。TRPV3が最も多く、次いでTRPV1、TRPV4、TRPV2と続くものである。 癌細胞では、癌組織と異なる様式であることが判明している。癌細胞では、TRPV1が最も多く発現しており、続いてTRPV4が多く、TRPV3と2が同程度となっている。 また、正常細胞と癌細胞のTRPVの発現様式を基準として、各々のTRPV発現の促進剤と抑制剤を作用させて、チャネルの反応を見ているところであるが、再現性に乏しいため、実験プロセスを再検討している。
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Strategy for Future Research Activity |
正常細胞は正常組織と同様の発現様式であった。同様に、本来、癌組織と癌細胞が同様のチャネル発現様式をとることを予測していたが、そうではない結果が多かった。再現性を得るためにも、培養癌細胞(HSC3)と培養正常細胞(HOMK)を用いて、これまでの実験で得られてきた、正常細胞と癌細胞のTRPV1~4の発現様式を基準としてチャネルが開く契機となる物質や条件を与えて、カルシウムアッセイを行う予定である。
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Causes of Carryover |
当初の予定よりも細胞培養や抽出がうまくいかず、必要試薬の購入が遅延した。また、家族の入院介護が必要となった期間があり、実験が滞った。
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