2016 Fiscal Year Research-status Report
抗癌剤耐性口腔扁平上皮癌細胞に対する免疫チェックポイント阻害剤併用療法の開発
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16K20581
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 免疫チェックポイント阻害剤 / 抗PD-1抗体 / 抗癌剤 / 併用療法 / アポトーシス |
Outline of Annual Research Achievements |
マウス扁平上皮癌由来細胞株SCCⅦをBalb/cヌードマウスおよびC3H/Heマウスに皮下接種し、固形腫瘍を生着させた後(細胞接種後7日後)に、マウス抗PD-1抗体 20mg/kgを第1週目に、10mg/kgを第2週目以降に、腹腔内投与を週1回継続して行ったところ、C3H/Heマウスにおいて、未処理対照マウス群とSCCⅦ腫瘍群とを比較したところ、5週目以降に両群間に有意差を認め、第9週目の時点では、未処理対照マウス腫瘍の1/2以下の体積となった。一方、Balb/cヌードマウスでは、同じ治療を行ってもマウス抗PD-1抗体の抗腫瘍効果は認められず、マウス抗PD-1抗体はT細胞依存性に抗腫瘍効果を発現していると考えられた。また実験動物の体重変化は、C3H/HeマウスならびにBalb/cヌードマウスともに、マウス抗PD-1抗体治療群と未処理対照群との間に有意差は認められなかった。C3H/Heマウス背部皮下残存腫瘍における免疫組織学的な検索を行ったところ、マウス抗PD-1抗体治療群ではアポトーシスの増強(TUNEL陽性細胞の有意な増加)が観察された。なお屠殺後に食道、胃、小腸、大腸、肺、肝臓、脾臓、腎臓、唾液腺について肉眼的および組織学的に(HE染色にて) 観察したところ、明らかな変化を認めなかった。さらに抗癌剤とマウス抗PD-1抗体との併用療法の検討を行った。この際5-FUは20mg/kg/日を週2回、Cisplatinは5mg/kg/日を週1回と、それぞれ最大耐容量より低容量を用いた。その結果、それぞれの併用療法がSCCⅦ腫瘍に対して顕著な抗腫瘍効果を発現することを確認した。また実験動物の体重変化は、C3H/Heマウス、Balb/cヌードマウスともに、未処理対照群、マウス抗PD-1抗体治療群、抗癌剤治療群、抗癌剤とマウス抗PD-1抗体併用治療群の4群間に有意差は認められなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
既存の抗癌剤が腫瘍に対する免疫応答を賦活化させることが知られているため、抗PD-1抗体と抗癌剤との併用療法の可能性も検討すべきである。そこで本研究ではマウス抗PD-1抗体を用いて、単剤ならびに抗癌剤(5-FUおよびCisplatin)との併用療法をin vivoで行い、それぞれ抗腫瘍効果が確認できた。特に抗PD-1抗体と抗癌剤と併用にて残存腫瘍にアポトーシスの増強を確認出来るなど、抗腫瘍効果のメカニズムの解明も進んでいる。 さらに実験動物の各種臓器も観察し、有害事象が少ないことも確認できた。以上のことから、本研究の進捗状況はおおむね順調と考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は分子標的薬剤(Cetuximab)とマウス抗PD-1抗体の併用療法を行う予定である。予備実験の段階ではあるが、Cetuximabは5-FUやCisplatinよりもマウス抗PD-1抗体との併用効果が大きいことを示唆する所見が得られており、再現性を確認するとともに、ADCC活性の増強等、併用効果発現のメカニズムについて検索を進めたいと考えている。同時並行して5-FU、Cisplatin、Docetaxelに対する耐性株SCCⅦ/FU、SCCⅦ/CDDP、SCCⅦ/DOCを作製中であり、これらの耐性株を用いて、マウス抗PD-1抗体併用療法を検討し、有意な抗腫瘍効果が得られたなら、そのメカニズムを検討する予定である。遺伝子変異の蓄積は抗PD-1抗体療法のバイオマーカと考えられているため、耐性株においてマウス抗PD-1抗体併用療法は強い抗腫瘍効果を発現できる可能性があると考えている。
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