2016 Fiscal Year Research-status Report
新規培養法による末梢血濃縮細胞群由来エクソソームを用いた萎縮唾液腺再生療法の開発
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16K20590
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
井 隆司 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 助教 (30733448)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 再生医学 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度は、唾液腺萎縮モデルの作出、末梢血EPC細胞単離抽出条件の設定、QQ-EPCs由来エクソソームの抽出をおこなった。組織障害モデルの作出については、C57BL/6 マウスの顎下腺領域まで含んだ頭頸部のみに放射線照射を与えることのできる機器を用いて、12Gy (gamma-ray) の線量を照射することで、照射後4 週で、通常量の約30%まで唾液分泌量の低下を導く障害を唾液腺に与えることができた。濃縮末梢血EPC細胞群の抽出については、血液凝固処理をした注射筒を用いてマウス心臓より採血を行い、次いで数回の遠心操作を行い、単核球成分を多く含むBuffy coatを採取する。Buffy coatには少量の赤血球も含まれるため塩化アンモニウムを加え溶血させる。その後、単核球成分をEPCs に誘導するサイトカイン添加培地によるQQ培養を5日間行った。EPCsは主に自己増殖の働きを持つsmall EPCs と自ら血管を形成するlarge EPCsの2種類に分けられ、QQ処理後のEPCs群は有意にlarge EPCsの割合が多く、colony数自体も多いことをこれまでの研究で確認している。また、今回、QQ処理後の細胞群には極めて多くの抗炎症効果の働きを持つマクロファージが含まれていることが確認できた。QQ-EPCs由来エクソソームの抽出については、培養されたQQ-EPCsから超遠心法(100,000g以上で70分間,4℃) でエクソソームを回収した。回収したエクソソームは凍結乾燥し、保存可能であることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の実施目標とほぼ同様の進捗状況である。 エクソソーム抽出には予定以上の細胞数が必要であることが判明した。 そのため培養後の細胞数を確保できる培養条件の設定が必要と考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
細胞数を確保するための培養条件をさらに改善し、エクソソームの回収効率を向上させる。その後エクソソーム投与を実施する。エクソソーム投与後は組織回復の評価を行う。加えて行なった移植試料について、さらに詳細に検討を加え、投与群のエクソソーム動態解析を行ない、投与効果のメカニズムを解析する。さらに、ヒト由来のエクソソーム投与を異種間で行い、その効果と免疫原性の有無についても検討し、臨床試験に向けた治療法の開発を開始する。
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Research Products
(2 results)