2016 Fiscal Year Research-status Report
治療抵抗性口腔癌の高次エピゲノム解析に基づく新規診断法とエピゲノム治療法の創出
Project/Area Number |
16K20595
|
Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
廣末 晃之 熊本大学, 医学部附属病院, 助教 (00638182)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 口腔癌 / DNAメチル化 / ヒストン修飾 / 放射線耐性 / 高転移 / エピゲノム |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は抗癌剤耐性および放射線耐性口腔扁平上皮癌(OSCC) 細胞株におけるエピゲノムの異常の解析を行う予定としていたため、まずは放射線耐性に関与するDNAメチル化異常の解析を行った。当所属分野では放射線耐性OSCC細胞株を有しているため、同細胞株と親株を用いて、RRBS法による網羅的なDNA メチル化解析を行った。その結果、放射線耐性に関与してDNA メチル化状態が変化している遺伝子が多く認められた。続いて化学放射線療法を施行しているOSCC患者の生検時の組織でのDNAメチル化解析を行ったところ、放射線耐性細胞株にてDNAメチル化が変化している遺伝子において生検時の組織にて高メチル化を認める症例の治療効果が乏しい結果が得られた。また、放射性耐性OSCC 細胞株においては親株と共に遺伝子発現アレイ解析を施行した結果、DNA高メチル化遺伝子では発現が低下しているものがみられた。今後は他の放射線耐性株についても網羅的なDNAメチル化解析を実施し、放射線耐性に関するDNA メチル化プロファイルを行う予定である。ヒストン修飾の解析については、H3K27のアセチル化に着目し、転移能の高いOSCC細胞株を用いてゲノムワイドでのヒストン修飾状態をChIP-seq法にて解析した。また、転移に関連する遺伝子についてChIPアッセイにおいてもH3K27アセチル化の変化を確認した。H3K27アセチル化の高集積部位はスーパーエンハンサーの可能性があるため、ゲノムワイドいてスーパーエンハンサーの検索も行った。今後はBRD4の結合部位を解析するため、BRD4の抗体を用いてChIP-seq法を行い、放射線耐性や高転移に関連するスーパーエンハンサーの同定を行う予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は抗癌剤耐性および放射線耐性口腔扁平上皮癌(OSCC) 細胞株におけるエピゲノムの異常の解析を行う予定としていたため、放射線耐性に関与するDNAメチル化異常の解析および遺伝子発現解析を施行した。また、ヒストン修飾状態の解析も網羅的に行うことができ、おおむね研究計画に応じた実験の遂行ができたと思われる。しかし、データ不十分な項目や抗癌剤/放射線耐性、高転移に関与するスーパーエンハンサーの同定など現在遂行中の実験もあるため、今後さらに実験を重ね、口腔癌の治療抵抗性に関与するエピゲノム異常について解明したいと考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後はOSCCの抗癌剤/放射線耐性、浸潤・転移に関連する遺伝子群の高次エピゲノムの解析およびOSCCにおけるエピゲノム・プロファイルとその臨床的意義の解析を中心に解析を進めていく予定である。OSCC 組織の解析としては当所属分野に保管している臨床検体の内、治療前の生検時のサンプルを用い、OSCC組織における耐性関連遺伝子群、転移に関与する遺伝子群についてDNAメチル化解析、クロマチン構造の解析を遂行していく予定である。またより簡便で低侵襲な診断法の開発を目指して、唾液や血清よりDNA を抽出し、耐性関連遺伝子群や転移関連の遺伝子群のDNA メチル化状態を解析し、細胞株やOSCC 組織の結果と比較検討を行っていきたいと考えている。これらの解析結果を基にOSCC 組織におけるエピジェネティックな特徴ごとにエピゲノムプロファイリングを行い、臨床病理学的特徴と併せその臨床学的意義を解明する。臨床病理学的特徴としては、TNM 分類、Stage 分類、浸潤様式、再発・後発転移の有無、生存、術前治療の治療効果(抗癌剤、放射線感受性)等の項目について検討を行う。また、新たな治療法の創出を目指してエピゲノム治療薬を用いて、抗癌剤や放射線感受性の評価や浸潤・転移への影響を解析する。以上の検討により、本研究の目的である口腔癌の治療抵抗性に関与する高次エピゲノム異常を解明し、エピゲノムプロファイルに基づいた新規診断法とエピゲノム治療法の創出を目指したいと考えている。
|
Causes of Carryover |
細胞培養等に使用する消耗品の納期が間に合わなかったため、次年度分へ繰り越した。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
細胞培養に使用する消耗品を購入予定である。
|
Research Products
(7 results)
-
-
[Journal Article] Predictive value of the combination of SMAD4 expression and lymphocyte infiltration in malignant transformation of oral leukoplakia.2017
Author(s)
Sakata J, Yoshida R, Matsuoka Y, Nagata M, Hirosue A, Kawahara K, Nakamura T, Nakamoto M, Hirayama M, Takahashi N, Nakashima H, Arita H, Ogi H, Hiraki A, Shinohara M, Nakayama H
-
Journal Title
Cancer Medicine
Volume: 6
Pages: 730-738
DOI
Peer Reviewed / Open Access
-
[Journal Article] IL-6 controls resistance to radiation by suppressing oxidative stress via the Nrf2-antioxidant pathway in oral squamous cell carcinoma.2016
Author(s)
Matsuoka Y, Nakayama H, Yoshida R, Hirosue A, Nagata M, Tanaka T, Kawahara K, Sakata J, Arita H, Nakashima H, Shinriki S, Fukuma D, Ogi H, Hiraki A, Shinohara M, Toya R, Murakami R.
-
Journal Title
British Journal of Cancer
Volume: 115
Pages: 1234-1244
DOI
Peer Reviewed
-
[Journal Article] Factors affecting volume change of myocutaneous flaps in oral cancer.2016
Author(s)
Hiraki A, Yamamoto T, Yoshida R, Nagata M, Kawahara K, Nakagawa Y, Matsuoka Y, Tanaka T, Hirosue A, Fukuma D, Ikebe T, Shinohara M, Nakayama H.
-
Journal Title
International Journal of Oral and Maxillofacial Surgery
Volume: 45
Pages: 1395-1399
DOI
Peer Reviewed
-
-
-
[Presentation] 口腔扁平上皮癌におけるHMGA2の臨床的意義2016
Author(s)
坂田純基, 廣末晃之, 吉田遼司, 永田将士, 松岡祐一郎, 有田英生, 中嶋光, 福間大喜, 尾木秀直, 篠原正徳, 中山秀樹
Organizer
第40回日本頭頸部癌学会
Place of Presentation
大宮ソニックシティ、埼玉
Year and Date
2016-06-09 – 2016-06-10