2017 Fiscal Year Research-status Report
光線力学療法を応用した新規インプラント周囲炎治療法の開発
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16K20600
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
堀井 幸一郎 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), その他 (70571686)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | インプラント周囲炎 / a-PDT |
Outline of Annual Research Achievements |
インプラント補綴治療は治療法や製品の改良が進められ、現在では歯の欠損補綴に欠かせない治療法として多くの患者のQOL向上に大きく寄与している。一方で、ここ数年インプラント周囲炎のり患患者は急増し、発生率は30~77%に及ぶとの報告もある。さらに今後も増加すると考えられている。インプラント周囲炎はインプラント体表面及びインプラント周囲組織に形成されたバイオフィルムにより、炎症反応が惹起されインプラント周囲組織が破壊される病態で、インプラントを支持している骨組織の破壊によるインプラント体の動揺や軟組織の破壊により審美障害を招き、患者QOLの著しい低下を招く要因となっている。現在、インプラント周囲炎の治療はさまざまな方法が試みられているが、その治療は困難で確立された治療方法が求められている。 近年、光と色素の併用による化学反応を利用した抗菌的光線力学療法(antimicrobial photodynamic therapy: a-PDT)がインプラント周囲炎治療の分野で新しい方法として注目を集めている。a-PDTは光と色素の併用による光化学反応を応用するもので、これにはa光感受性薬剤、b光、c酵素の三者が必要で、発生した活性酸素により細菌の細胞膜や細胞壁の損傷により殺菌効果、もしくはDNAの損傷により静菌効果を示すと考えられている。 a-PDTは旧来のレーザーによる光凝固・蒸散などの物理的破壊とは異なり、低エネルギーでの光照射により病変を選択的に治療することから、正常組織に対する障害は少ない治療法として注目されている。いくつかの研究においてa-PDT療法の有用性が報告されているが、色素濃度、照射時間などに関し、効果の高い確実な条件や手技および長期的な効果が定まっていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究計画では平成29年度中にリボフラビンを用いたa-PDTの殺菌効果に関して至適な色素濃度、照射時間をin vitroで明らかにする予定であった。細菌浮遊液およびバイオフィルムについて殺菌効果を検討する予定であったが、バイオフィルム形成過程において技術的な困難があり、計画に比べて若干の遅れを生じている。今後、この遅れを取り戻すべく研究を加速させていく所存である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は引き続き、さまざまなリボフラビン濃度、青色光照射時間の設定について殺菌効果の検討を行う。バイオフィルム形成に関して当初予定していた方法では検討困難であることが明らかとなったため、現在代替方法を検討中である。代替方法としては菌種の変更等を検討している。
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Causes of Carryover |
平成29年度に予定していた研究計画にやや遅れが見られたことと、実際に研究にかかった費用が当初の見積もりよりも安く購入できたことなどにより実支出額が低くなった。 平成30年度に引き続き研究を計画しており、消耗品等の購入を予定している。
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