2016 Fiscal Year Research-status Report
唾液から口腔扁平上皮癌の頸部リンパ節転移予測分子マーカーを同定し臨床応用する
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16K20618
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Research Institution | Tokyo Dental College |
Principal Investigator |
菅原 圭亮 東京歯科大学, 歯学部, 講師 (10506926)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | メタボローム / 口腔扁平上皮癌 / バイオマーカー |
Outline of Annual Research Achievements |
口腔扁平上皮癌患者の唾液を用いメタボローム解析で頸部リンパ節予測マーカーを探索し、そのマーカーの臨床応用および転移メカニズムの解明を目標として研究を行っている。 頸部リンパ節転移の有無は口腔癌の最も重要な予後予測因子である。制御可能と判断し外科療法が適応される症例でも、原発腫瘍の状況等から転移の可能性が高いと判断された場合、予防的な外科療法、後療法として放射線療法、化学療法が行われる。しかしながら画像診断での診断精度はいまだ70%が現状である。画像情報に加えて転移に関するより信頼性のある情報があれば確実な治療法の選択、また不要な治療を避ける事も可能となる。近年、メタボローム解析にて唾液中にがんを含む様々な疾患の特有の代謝物が同定されてきている。以上より頸部リンパ節転移に関与する代謝物の同定は、臨床の現場で高い診断精度を与え、手術方針決定・患者QOLの向上を期待できる。 具体的には①唾液を用いメタボローム解析での転移予測マーカーの探索、②マーカー関連遺伝子の腫瘍組織および正常組織でのコピー数、発現解析、③機能解析による頸部転移のメカニズム解明、の3つである。申請者らは2015年に唾液に着目し、正常健常人と口腔扁平上皮癌患者の唾液を用い2次元電気泳動法で口腔扁平上癌患者に特有なタンパク質enolase1を同定した1) (Katakura et al. JOMSMP, 2015)。また、メタボローム解析で日本人口腔扁平上皮癌に関与する可能性のある25の候補代謝物を同定した2) (Ohshima et al. Oncology Report, 2017 )。本年度は、頸部リンパ節転移有り群と転移なし群の2群の口腔扁平上皮癌患者の唾液を用い、網羅的解析が可能なCE-MSメタボローム解析を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
口腔扁平上皮癌患者の唾液の収集は30症例に対して実施した。唾液の前処理は全症例で行った。唾液を用いたCE-MSメタボローム解析は22症例で実施した。その結果を用いて日本人口腔扁平上皮癌の発がんに関与する可能性のある25の候補代謝物を同定し、国際学術誌に投稿、掲載された。以上の結果に加え、頸部リンパ節転移あり群と転移無し群に分け、2群間での検出された代謝物を抽出し、頸部リンパ節転移関連候補代謝物を探索している。今後は、頸部リンパ節転移関連候補代謝物に関して、統計学的処理を行い、最も有意な代謝物および関連遺伝子に関してReal-time PCR法などの分子生物学的手法にて解析を行っていく。現在までに研究計画当初に予期していなかった事象は発生していない。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の今後の推進方法は、CE-MSメタボローム解析により同定された候補代謝物と関連遺伝子を正常組織、腫瘍組織を用いてReal-time PCR法、Western blotting法、免疫組織化学染色などでコピー数変動解析、発現解析を行うことである。そして、候補代謝物の局在を確認する。次に、これらの代謝物および関連遺伝子のコピー数変動、発現状態と口腔扁平上皮癌頸部リンパ節転移の臨床指標との関連性を統計学的解析にて検討し、転移予測分子マーカーとして臨床応用可能か統計学的検討を行う。最終的にはin vitro invasion assay等の機能解析を行い転移メカニズムを解明する。
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Causes of Carryover |
平成28年度に、メタボローム解析を行い、その結果をもとにReal-time PCRなどを行い、学会で発表予定であったが、全検体での結果が得られなかったので、研究計画を変更したため、未使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
Ral-time PCR、免疫組織化学染色の解析結果の発表を次年度に行うこととし、未使用額はその経費に充てることとしたい。
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Research Products
(7 results)