2016 Fiscal Year Research-status Report
萎縮顎下腺再生過程のin vitroにおける基礎的研究
Project/Area Number |
16K20621
|
Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
白土 博司 日本大学, 歯学部, 専修医 (50710844)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 唾液腺 / 萎縮 / 再生 / 細胞 / 免疫組織化学 / 細胞骨格 |
Outline of Annual Research Achievements |
1年目の実験計画は7日間の主導管結紮により萎縮させた顎下腺を摘出し、その萎縮顎下腺から細胞懸濁液を作製しスフェロイド培養を実施することだった。Wistar系ラットについて全身麻酔・局所麻酔下に両側の顎下腺主導管を顎下部より切開を行うことで剖出し、チタンクリップで結紮し閉創。以後、7日間の主導管結紮持続状態で飼育を行い、術後7日で両側顎下腺を摘出。その動物実験プロトコルにより採取した萎縮顎下腺を採取し半割を行い、その一方について凍結切片を製作し、萎縮の程度を確認した。萎縮が確認できた顎下腺から細胞懸濁液を作製し種々の細胞数に調整し、96穴U底プレートに播種した。その結果、細胞の集合塊を形成した。HEおよびPAS染色で形態を観察したところU底に接している部位に被膜様に細胞が並んでおり、集合塊中央部にaquaporin5陽性の細胞が観察された。2年目ではスフェロイド培養についてまずは、介在部導管、線条部導管、筋上皮細胞は何処に行ったのか?7日間の顎下腺主導管結紮で出現する導管様構造物(duct-like structure)がin vitroでそれらの細胞に分化増殖しているのかを確認する必要がある。その後はintegrin、Sca1、c-kit、α―SMA、keratin18、aquaporin5を認識する抗体を用いて、それらの局在をin vivoで免疫組織化学的に解析する。免疫組織化学的解析の終了後に実験計画に則りスフェロイド培養にcytochalasin D, FGF, Shh, Pax6, 9, FGFR inhibitor SU5402, PI3K inhibitor LY294002等を添加し腺房細胞・導管構成細胞の形成過程の変化をAQP-5等で免疫染色ことにより観察する。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
in vitroでのスフェロイド培養の確立に時間を要している。in vivoでは萎縮した顎下腺には正常顎下腺と異なり導管様構造物(duct-like structure)という特有の構造が出現する。そういった特有の構造を含んだ顎下腺構成細胞が、本実験で製作した細胞懸濁を用いたスフェロイド培養系でどのように再現されているかを免疫組織化学的に精査する必要がある。1年目の実験ではaquaporin5の局材の検討にとどまっており、筋上皮細胞の指標であるα-SMA、細胞骨格のatcinなどについてその局在を明らかにし、スフェロイド培養にて唾液腺が構成されていることを確認することが必要と考える。以上のことから当初の計画よりもやや遅れていると考える。
|
Strategy for Future Research Activity |
2年目ではスフェロイド培養について、1年目で検討できなかった各種顎下腺構造の行方について検討を行う。すなわち腺房細胞、介在部導管、線条部導管、筋上皮細胞はスフェロイドのどこに局在しているのかを免疫組織化学的に検索する。また7日間の主導管結紮により萎縮顎下腺に特異的に出現する導管様構造物(duct-like structure)がin vitroでそれらの細胞に分化増殖しているのかを確認する必要がある。その後はintegrin、Sca1、c-kit、α―SMA、keratin18、aquaporin5を認識する抗体を用いて、それらの局在をin vivoで免疫組織化学的に解析する。免疫組織化学的解析の終了後に実験計画に則りスフェロイド培養にcytochalasin D, FGF, Shh, Pax6, 9, FGFR inhibitor SU5402, PI3K inhibitor LY294002等を添加し腺房細胞・導管構成細胞の形成過程の変化をAQP-5等で免疫染色ことにより観察する。
|
Causes of Carryover |
大学の行事のため予定していた学会に出席できなかったため繰越金が生じた。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
繰り越された金額は次年度の国内学会出席の旅費、実験動物の購入、培養関係の機材・薬剤などの消耗品費として使用する予定である。2年目は免疫組織化学の実験が多くを占めるため、培養関係の実験器材、試薬、免疫組織学に用いる抗体、添加実験で用いる各種inhibitor購入を目的に消耗品費を充てる。得られたデータを論文として投稿するため翻訳・校閲料を計上した。
|