2016 Fiscal Year Research-status Report
手術中のアーチファクト存在下でのBIS値およびAEP値の信頼性の比較検討
Project/Area Number |
16K20622
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Research Institution | Kanagawa Dental College |
Principal Investigator |
横江 千寿子 神奈川歯科大学, 歯学研究科, 助教 (00711061)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 歯科麻酔学 / 全身麻酔 / 鎮静度 |
Outline of Annual Research Achievements |
意義および重要性:近年、全身麻酔時に、術中覚醒や麻酔薬の過量投与を防ぐため、BISモニターを使用して鎮静度を評価することが一般的になっている。しかしBIS値による評価は、切削機器による振動や電気メス、頭部の筋電図等がアーチファクトになる点や、使用麻酔薬により信頼性が異なる等、問題点も多い。本研究は、特にアーチファクト混入が顕著である顎骨骨切り術に焦点を絞り、BIS値をもう一つの鎮静度評価法である聴覚脳幹誘発電位(AEP)値と比較検討する。また、自律神経活動解析や血清コルチゾル濃度測定により鎮痛状況の確認も行うことで、より詳細で正確な鎮静度評価を行い、鎮静度評価方法の向上を目指すものである。 具体的内容:歯科口腔外科手術である顎骨骨切り術を施行される患者を対象とし、AEP値を鎮静度の指標として、全身麻酔管理を行う。取得データとして、AEP値、BIS値、循環動態、自律神経活動指標を連続的に測定する。また、血清コルチゾル濃度を、侵襲が大きくアーチファクト混入が起こりやすい骨切削時および骨分割時、侵襲が少なく麻酔状態が安定する手術前および手術終了時の4時点で測定する。自律神経活動解析や血清コルチゾル濃度により推測されるストレス反応をもとに、疼痛反応のない時点でのAEP値とBIS値の変化を比較検討し、麻酔安定時だけではなく、特に手術侵襲時の鎮静度評価の正確性について考察を行う。 当該年度に実施した研究の成果:当該年度は研究倫理審査委員会の承認を受け、研究に必要な機器及び物品等を揃えて研究環境を整え、被験者を募集して研究データの取得を行っている段階である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は、顎骨骨切り術施行予定の患者を対象としている。顎骨骨切り術は、20歳前後の若年者を対象にすることが多いため、学生の場合、夏季休暇等の長期休暇を利用して手術が施行されるケースが多い。研究代表者が、厚生労働省派遣医師事業である沖縄県重度心身障害者全身麻酔下歯科治療事業(平成28年7月6日から同年8月3日まで)へ参加することになり、学生の夏季休暇期間に当たる期間に当研究を行えない時期があったために、研究データを取得できた被験者数が予定していた人数よりも少なくなった。また、当初は研究協力の意思を自身で決定できる成人患者のみを対象としていたが、想定していたよりも未成年の患者割合が多く、研究対象となる患者数が少なかったことも一因である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は、本研究の対象患者である顎骨骨切り術施行予定である患者が多くなる夏季休暇を含めて、研究を行える環境がすでに整っているため、前年度よりも大幅に被験者数が増加すると考えられる。 また、できるだけ被験者数を増やすために、当初は成人患者を対象としていたが未成年の患者も対象に含めて研究を行う予定である。このために当病院の研究倫理審査委員会に変更申請を行う予定である。
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Causes of Carryover |
本研究では血清コルチゾル検査を外部業者に委託しているが、その検査費用は平成29年度に一括して支払う予定になったため、平成28年度に支払うことを想定して申請していた金額を使用しなかった。 国際学会への参加を予定していたが参加を見合わせた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度に血清コルチゾル検査費用を支払う予定である。
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