2016 Fiscal Year Research-status Report
凍結切片を利用したiPS細胞の分化誘導メカニズムの解明と品質評価法としての有用性
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16K20624
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Research Institution | Tsurumi University |
Principal Investigator |
田所 晋 鶴見大学, 歯学部, 臨床助手 (70552412)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 再生医療 / iPS細胞 / 分化誘導 |
Outline of Annual Research Achievements |
iPS細胞の分化誘導環境を実際に再生を目指す組織・臓器自体に求めることで分化誘導が可能ではないかという仮説の下、目的臓器の凍結切片上でiPS細胞を培養し分化を誘導した。マウスから肝臓、脳、脊髄、を摘出し、それぞれカバーガラス上に凍結切片を作製する。これを同径のガラスボトムディッシュ内に静置し、その切片上にiPS細胞を播種し、培養することで分化誘導を行った。その結果、肝臓凍結切片上で培養したiPS細胞で、肝細胞への分化が高率に誘導されることを見出した。また、脳および脊髄凍結切片上で培養したiPS細胞では、神経系細胞への分化が高率に誘導されることを見出した。これは異なる体細胞由来のiPS細胞や異なる樹立方法のiPS細胞4株でも同様の結果が得られ、本誘導法が普遍的に様々な由来のiPS細胞の分化誘導に応用できる可能性が強く示唆された。 さらに本誘導法の実用化を目指すにあたり、本法における、培養上清中の各種因子の解析や、細胞の接着する足場としての微小環境などの分化誘導環境、さらには凍結組織切片が放出するmicroRNAなどに着目することにより、分化誘導環境の詳細な解析を行い、本法の分化誘導現象のメカニズムを解明することで、本法のみでなく現在報告されている分化誘導法をより効率的で確実な誘導法にすることを目指すとともに、本法による分化誘導刺激に対する反応性の差に基づいたiPS細胞クローンの選別および品質評価の判断が正しいかどうかについて検討し、本法の実用化が可能かどうかについて検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度の研究計画では、凍結切片上培養における分化誘導メカニズムの解明として、①液性タンパク質因子(増殖・分化因子)、②細胞外基質(組織の微細構造を含む)および③microRNAの3つの観点から検討を予定していた。①③についての検討は、タンパク質因子とmicroRNAによる分化誘導への影響が評価できたため、概ね順調に進展していると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度の結果を得て、本法の誘導効率の向上の検討とiPS細胞の品質評価法の有用性の確認を行う。
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Causes of Carryover |
薬価の変動により、予定額との差が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の物品費にあてる。
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