2016 Fiscal Year Research-status Report
機械的刺激下の骨リモデリングにおける骨細胞のアポトーシスとp53,CCN2の関与
Project/Area Number |
16K20634
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
高野 郁子 東北大学, 大学病院, 医員 (90770462)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 歯学 / 機械的刺激 / 骨リモデリング / p53 / CCN2 |
Outline of Annual Research Achievements |
歯科矯正臨床において、不正咬合の治療に必要な歯の移動は、歯に加えられた矯正力を生物的な刺激に変換し生じる歯槽骨の吸収と形成(骨リモデリング)により引き起こされる。骨組織に最も多く存在している骨細胞はメカノセンサーとしてメカニカルストレスに応答するだけでなく骨細胞のアポトーシスが骨吸収に関与する可能性も示唆されているが、その詳細なメカニズムは不明である。本研究では、骨リモデリングにおける骨細胞の機能解明に向け、メカニカルストレスにより惹起される骨細胞のアポトーシスの分子メカニズムを明らかにすることを目的に骨細胞に発現しメカニカルストレスに応答するCCN2およびアポトーシス誘導因子であるp53に着目し、in vivo,in vitroでの分子生物学的解析を行う。 本年度はin vivoにおいて、メカニカルストレスにより惹起される骨アポトーシスを明らかにするために6週齢の雄性ICRマウスの頭蓋冠に圧縮力を付加した。全身麻酔下で頭頂骨を露出させ、矢状縫合部に対し垂直に圧縮力が負荷されるようにスプリングを挿入し、閉創した。対照群はスプリングは挿入せずに閉創した。圧縮力負荷後、全身麻酔下で4%パラホルムアルデヒドにて灌流固定を行った。頭蓋骨を摘出後、通法に従い脱灰、脱水処理を行い、パラフィン包埋した。ミクロトームを用い、厚さ5μmの水平断連続切片を作成した。得られた組織標本は、TUNEL染色、CCN2およびp53に対する免疫染色を行った。結果として、免疫染色によるCCN2およびp53のタンパク質発現量は、圧縮力負荷後に対照群と比べ有意に上昇した。同様に、圧縮力負荷後にTUNEL染色における陽性細胞の割合が対照群と比べ有意に上昇した。マウス頭蓋冠におけるメカニカルストレス付加によりアポトーシスが誘導されることが示された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
6週齢のICRマウスの頭蓋矢状縫合部における圧縮力付加モデルを作成し、in vivoでのメカニカルストレスにより生じる骨リモデリングを観察できるようになった。このin vivo圧縮力付加モデルを用いて、CCN2およびp53に対する免疫染色、TUNEL染色による解析を行い、メカニカルストレスに応答する骨細胞のアポトーシスとCCN2、p53の関係を検討できるようになった。
|
Strategy for Future Research Activity |
骨細胞様細胞株MLO-Y4におけるin vitroのメカニカルストレス負荷時のCCN2、p53発現の変化とアポトーシス誘導についての解析を行う。骨細胞様細胞株MLO-Y4細胞をシリコンチャンバーに播種し、生化学用伸展装置を用いて圧縮力を負荷する。圧縮力を負荷後、TUNEL染色を行いMLO-Y4細胞のアポトーシスを検討する。さらに、経時的にRNAおよびタンパク質を抽出し、CCN2, p53の発現を定量的RT-PCRおよびウェスタンブロット法を用いて定量的解析を行い、非圧縮群と比較検討する。 上記のin vivoおよびin vitroの結果から検討し、メカニカルストレスによる骨リモデリングにおける骨細胞のアポトーシスとCCN2、p53の役割について論文にまとめる。
|
Research Products
(4 results)