2017 Fiscal Year Research-status Report
酸化ストレス防御能を有するヒトiPS細胞由来の歯根膜シートの開発と歯周組織再生
Project/Area Number |
16K20635
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
後藤 まき 東北大学, 歯学研究科, 大学院非常勤講師 (20771108)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 歯根膜 / iPS細胞 / 歯周組織再生 |
Outline of Annual Research Achievements |
歯根膜は生理的条件下において歯の支持、血管網による栄養の供給、感覚の受容、歯周組織の維持・再生に重要な役割を果たしている。また、歯根膜は咀嚼力や咬合力といったメカニカルストレスから歯と歯周組織を保護し、恒常性を維持している。歯周病により歯周組織が破壊されると、自然治癒は見込めず、重度の歯周組織の破壊が生じた場合には抜歯が不可避となり、患者の審美性や咬合機能が著しく損なわれる。これまで、失われた歯周組織の再生を促す治療方法として、組織再生誘導法やエムドゲインが知られている。近年、歯根膜細胞シートを用いた歯周組織の再生が期待されている。また、チタン製インプラント体に歯根膜の発生学的由来である歯小嚢を付与することにより、歯根膜機能を有したバイオハイブリットインプラントの作製が可能であることが報告された。しかし、将来これらの技術を広く臨床応用するためには、いかに少ない患者への侵襲で必要十分量の安全な歯根膜細胞を確保するかという細胞ソースの課題を解決しなければならない。iPS細胞は、無限の増殖能と多分化能を有し、歯周組織再生の細胞ソースとなり得る。そこで本研究課題では、歯周組織の再生とバイオハイブリッドインプラントへの応用を目指した、ヒトiPS細胞由来歯根膜細胞シートの作製方法の開発のための研究を行ってきた。今年度は、iPS細胞由来歯根膜細胞を誘導するための前駆細胞として、ヒトiPS細胞から神経堤様細胞の誘導を行い、それらの細胞のキャラクタライゼーションを行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ヒトiPS細胞から歯根膜細胞への分化誘導方法の確立に、当初計画よりも時間がかかっているため。
|
Strategy for Future Research Activity |
当初、ヒトiPS細胞から間葉系幹細胞を誘導し、さらに歯根膜細胞を誘導する計画であった。最近の知見から、神経堤様細胞の誘導を介した、iPS細胞から歯根膜細胞の分化誘導が有効である可能性が示された。そこで今後は、ヒトiPS細胞由来の神経堤様細胞を介した歯根膜細胞の樹立方法についても検討を行い、効率的なiPS細胞由来歯根膜細胞の樹立方法の確立を目指す。
|