2016 Fiscal Year Annual Research Report
分化程度の異なる間葉系幹細胞の段階的投与による顎裂閉鎖治療法の有用性
Project/Area Number |
16K20643
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
沖 奈苗 広島大学, 大学病院, 歯科診療医 (30758199)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 骨再生 / 口蓋裂 / 血管新生 / 細胞走化性 / MSCs / RAW264 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者らは、これまでの実験により、ビーグル犬顎裂モデルを用いて、顎裂部に未分化間葉系幹細胞(MSCs)を移植することにより、生理的骨代謝を有する骨再生が達成することを確認した。また、担体として用いた未焼結炭酸アパタイト顆粒(CAP)のみを移植した対照群と比較して、MSCsをCAPと共に移植した実験群の方が、CAPの吸収が早く、骨形成も早期に認められた。骨再生には、細胞を供給する血管新生が重要であることより、MSCsの血管誘導および骨誘導を解明することを目的とした。まず、血管内皮細胞(HUVEC)とMSCsとの共培養により、細胞外マトリックスの存在しない成長因子非添加の状態で、HUVECは管腔様構造を形成した。また、血管新生因子であるMSCsが産生するVascular Endothelial Growth Factor A(VEGF-A)、HUVECが産生するPlatelet Endothelial Cell Adhesion Molecule-1(PECAM-1)、Matrix Metalloproteinase-2 (MMP-2)、Matrix Metalloproteinase-9 (MMP-9) が、共培養することにより、定量PCRにおいてそれぞれ有意に増加した。次に、MSCsが破骨細胞前駆細胞(RAW264)の走化性に及ぼす影響についてBoyden chamber assayを用いて検討した結果、MSCsはRAW264の細胞走化性を亢進させた。MSCsが発現する走化性を亢進させる因子としてCCL2に着目し、その受容体であるRAW264のCCR2中和抗体を添加したところ、RAW264の細胞走化性は減少した。また、MSCsとRAW264共培養により、MSCsのCCL2の発現が亢進するとともに、RAW264のCCR2の発現が、定量PCRにおいてそれぞれ有意に増加した。
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