2016 Fiscal Year Research-status Report
ボツリヌス毒素誘発性機能低下モデルを用いた顎口腔機能・形態発育障害の治療法検討
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16K20649
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
藤下 あゆみ 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 特任研究員 (30755723)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 歯科矯正学 / 咀嚼運動メカニクス / ボツリヌストキシン / マウス |
Outline of Annual Research Achievements |
オスICRマウスを用いて、咬筋および側頭筋に対してボツリヌストキシンを注入して機能低下モデルの構築に成功した。これにより特定の咀嚼筋の機能を低下させ、顎口腔へもたらす影響を明確化することが可能となった。 このモデルマウスを用いて筋活動記録および3次元顎運動の計測を行った。咬筋もしくは側頭筋機能低下時に、機能低下していない筋の活動増加が認められなかったことから、急性実験においてはそれぞれの筋活動低下に対する他筋の補償は働かないことが示唆された。また、顎運動については咬筋機能低下群において咀嚼運動時の顎運動の安定性が低下した。側頭筋機能低下群においては、マウスにおける食物粉砕期にあたる閉口相後期の下顎移動距離が減少し、閉口相後期時間も減少する傾向にあった。側頭筋による下顎骨の後方牽引が抑制されたことで、咬合相における食物の粉砕臼磨距離の減少が起こったことが考えられる。これらの結果から、咬筋は食物の粉砕臼磨期において下顎骨の安定に働いていること、側頭筋は粉砕臼磨距離の増加のために下顎を後方牽引し、結果として咀嚼効率の増加に寄与していることが示唆された。 現在の研究結果では咀嚼筋の一部に障害がおこることで咀嚼様式全体に影響を及ぼすことがわかった。これらの障害が咀嚼機能発達および咀嚼器官成長過程の時期に起こることで、機能・形態も含めた顎口腔器官全体に大きく影響することが示唆される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究の目的に記載した事項において、咀嚼・嚥下機能低下が顎口腔諸器官に対しどのような変化をもたらし、機能発達と形態成長にどういった影響を与えるのかについて、概ね指標となるデータの算出に成功した。しかしながら乳幼児モデルの確立が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は乳幼児期モデルマウスについてデータ収集および解析を進める。またその病態を明らかにした上で、介入法の検討を試みる。
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Causes of Carryover |
マウスの実験施行匹数が予定よりも少なかったことから、それらに関わる実験物品費用が減少したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
予定匹数を追加して実験を行うため、それに伴って飼育経費や手術に使用する薬品等が必要となる。
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Research Products
(2 results)