2017 Fiscal Year Research-status Report
間葉系幹細胞由来破骨細胞分化抑制ペプチドの作用機序と炎症性骨吸収抑制効果の解明
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16K20652
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
菊池 恵美子 (青松恵美子) 岩手医科大学, 歯学部, 研究員 (50733854)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 間葉系幹細胞 / 破骨細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
間葉系幹細胞(MSC)が組織再生作用以外にも、免疫抑制作用などの生命維持のために重要な役割を担っている。本研究ではMSCによる炎症性骨吸収抑制効果の発現メカニズムについて明らかにする。特に、MSC由来分泌型ペプチドSCRG1による破骨細胞分化抑制効果や炎症性骨吸収に対する作用メカニズムについて解明する。これまでに、破骨細胞分化を促進する細胞内シグナル伝達系の活性化に対するSCRG1の抑制効果を、さらに炎症性サイトカインの分泌や遊走能を評価することによってSCRG1の破骨細胞前駆細胞の未分化能維持を検証した。マウスマクロファージ様細胞Raw264.7を破骨細胞前駆細胞として用いた。最初にRaw264.7のSCRG1発現と、細胞表面に存在するBST-1ならびにβインテグリンの発現を確認した。Raw264.7を組換えSCRG1ペプチド(rSCRG1)と可溶性RANKL(sRANKL)で処理し、破骨細胞分化におけるSCRG1の影響を検討した。またrSCRG1刺激による細胞内シグナル伝達経路の活性化について、抗リン酸化抗体を用いたウェスタンブロットで検討した。その結果、Raw264.7はSCRG1を発現せず、さらにはSCRG1受容体としてのBST1とβ2インテグリンを発現することが確認された。Raw264.7をsRANKL単独で処理すると効率良くTRAP陽性かつ多核の破骨細胞形成が誘導されるのに対し、sRANKLとともにrSCRG1と共処理すると破骨細胞の形成は有意に抑制された。このことからSCRG1はRANKL誘導性の破骨細胞分化を抑制することが示された。またSCRG1刺激は細胞内シグナル伝達因子であるERKのリン酸化を増強した。したがって、SCRG1は受容体BST1/β2インテグリン複合体を介してERK経路を活性化することで破骨細胞分化を抑制することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成29年11月1日より平成31年3月31日まで、産前産後の休暇又は育児休業を取得した。平成29年度途中で研究が中断されたため、やや遅れていると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年11月1日より平成31年3月31日まで産前産後の休暇又は育児休業を取得したため、研究実施の再開は平成31年4月1日となる予定である。今後の研究計画は、平成31年度に破骨細胞前駆細胞未分化能維持の評価を行い、平成32年度にSCRG1過剰発現MSCの樹立ならびにIn vivoにおける炎症性骨吸収の評価を行う。これらの結果は、平成32年度に海外学術誌への投稿するとともに、日本生化学会と日本矯正歯科学会において成果を発表する。
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Causes of Carryover |
平成29年11月1日より平成31年3月31日まで産前産後の休暇又は育児休業を取得した。したがって、平成30年度は助成金を使用しない。研究再開は平成31年4月1日の予定であることから、平成31年度より助成金を使用して研究実施を再開する。交付申請書等に記載の平成30年度直接経費は平成31年度に申請して、研究を継続する。研究再開後の研究実施計画にしたがい、研究に必要な物品購入に使用し、得られた研究成果は国際学術誌へ投稿するとともに、学会発表において成果を公開する。
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Research Products
(3 results)