2017 Fiscal Year Research-status Report
ゲル状磁気式触覚センサを応用した新たな歯根膜矯正力測定システムの開発
Project/Area Number |
16K20659
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Research Institution | The Nippon Dental University |
Principal Investigator |
栃木 啓佑 日本歯科大学, 生命歯学部, 助教 (60769909)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 矯正力 / 歯根膜 / システムの開発 |
Outline of Annual Research Achievements |
矯正治療を行う際、歯に適切な矯正力を加えることは、効率の良い治療を行うために重要である。一方、不適切な矯正力が加わると疼痛や、根尖部の歯根吸収が起こる可能性があるため、歯根膜に加わる矯正力を把握することは不可欠である。 矯正力を測定するための装置として、現在まで様々な装置が報告されているが、筆者の知る限り歯周組織を十分に再現し、特に歯根膜に加わる矯正力を計測した研究は存在しない。 そこで研究期間中、歯根膜を模した歯根膜矯正力測定システムを製作し、マルチブラケット装置における歯根膜に加わる矯正力を計測することを目標とした。 本研究では当初、ゲル状磁気式触覚センサを応用し、システムを開発する予定であったが、センサの販売が中止となり、入手が不可能となってしまった。そのため、平成28年度は、ゲル状磁気式触覚センサの代わりに、直径7.0ミリの小型6軸力覚センサを使用することとし、システムのデザインの再検討を行った。平成29年度では、上顎中切歯を模した金属ブロックの根尖部に6軸力覚センサを設置し、歯根周囲には歯根膜を再現するためのゲル材として義歯用リライン材を厚さ0.3mmとなるように塗布し、システムの製作を行った。分銅(50、100、200gf)を用いて歯冠に力を加え、根尖部に加わる矯正力を計測した。圧下と舌側移動の2つを再現し、圧下では、切縁にジグを介して圧下方向に分銅を掛け、根尖部に加わる圧下方向の力(Fz)を計測した。舌側移動では、ブラケットに分銅を掛け、舌側方向に力を加え、根尖部に加わる舌側方向の力(Fx)を計測し、歯の移動方向の違いにおける根尖部に加わる矯正力を比較した。その結果、圧下では舌側方向の歯の移動と比較し、根尖部に有意に大きな矯正力が加わり、歯の移動方向によって、根尖部に加わる力が異なることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度計画として、歯根膜矯正力測定システムの製作と精度の検証、および歯根膜に加わる矯正力の計測を目標としていた。 まず、歯根膜矯正力測定システムの製作を行った。さらに、歯根膜に加わる矯正力前に、センサの精度を検証したが、誤差が認められたため、校正値を算出し、誤差に対応した。歯根膜に加わる矯正力の計測については、今年度は、根尖部に加わる矯正力を計測し、歯の移動方向の違いにおける根尖部に加わる矯正力の比較まで行うことができ、当初の目標をおおむね達成できたと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は、歯根膜の厚さの違いによる根尖に加わる矯正力の違いや歯根膜材の材質の違いによる根尖部に加わる矯正力の違いについて検討していく予定である。 歯根膜の厚さについては厚さ0.3mmの歯根膜をシミュレートし、計測を行ったが、今後、厚さ0.5mmの歯根膜をシミュレートし、計測を行い比較を行う。 歯根膜の材料にについては、義歯用リライン材を用いて、歯根膜をシミュレートしたが、今後は他の材料についても検討していく。 さらに研究結果をまとめて、学会発表を行い、論文を執筆し、歯根膜矯正力測定システムについて公表していく予定である。
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Causes of Carryover |
(理由) 今年度、発表することが決定した学会の開催が、次年度であるため、それに要する費用の余剰金が生じた。 (使用計画) 次年度、装置の改造、学会発表、論文作成等の費用に充填する予定である。
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Research Products
(1 results)