2016 Fiscal Year Research-status Report
創傷治癒モデルを用いた口蓋裂術後瘢痕形成を抑制する治療薬の開発
Project/Area Number |
16K20662
|
Research Institution | Fukuoka Dental College |
Principal Investigator |
秦 省三郎 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 助教 (40736732)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 筋線維芽細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
唇顎口蓋裂患者では、審美的・機能的問題から出生後早期に口唇形成術、口蓋形成術が施行される。しかし、術後瘢痕組織が上顎骨の成長発育に抑制的に働くことが知られている。また、TGF-β1 を介した線維芽細胞の筋線維芽細胞への分化は瘢痕の収縮をきたすことが報告されている。臨床においては、唇顎口蓋裂患者に対して顎発育への影響の少ない治療を提供することが強く望まれている現状である。 我々はこれまでに、上皮および結合組織の細胞から構成される三次元細胞培養モデルを用いた研究で、線維芽細胞の筋線維芽細胞への分化機構の解析を行い、TGF-β1 の活性化阻害が瘢痕形成に抑制的に働くことを報告してきた。 一方、線維芽細胞の筋線維芽細胞へ分化を促進すると報告されている因子の中の一つに、細胞外よりかかるメカニカルストレスが報告されている。このメカニカルストレスなどの物理的な刺激によって活性化されるイオンチャネルとして知られる Transient Receptor Potential(TRP) チャネルは、創傷治癒における線維芽細胞の分化誘導に関与することが報告されている。 そこで本申請課題では、創傷治癒時の瘢痕収縮における TGF-β シグナリングと TRP チャネルの役割について明らかにすることを目的とし、三次元細胞培養モデルに対する TRP チャネル活性化薬および阻害薬の影響について検討を行っている。その結果、TRPV2 阻害薬である SKF96365 により三次元培養モデルの収縮率が有意に減少することが明らかとなり、創傷治癒時の瘢痕収縮に、TRPV2 チャネルが関与する可能性が示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、再現性のある三次元培養モデルの確立と、それを用いたゲルの収縮率の解析ならびに生化学的解析が行えているため。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、免疫組織染色などの形態的解析ならびにreal time PCR 法 や ELISA などの生化学的解析を行うことで瘢痕収縮に対する TRPV2 チャネルと TGF-β シグナリングの関係性を検討する。
|