2017 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16K20663
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Research Institution | Fukuoka Dental College |
Principal Investigator |
吉良 迪子 福岡歯科大学, 口腔歯学部, その他(移行) (00601155)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 歯根未完成歯 / 細胞外器質 / 歯髄血管新生 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、歯根未完成歯における歯根形成端での血管新生メカニズムを解明し、歯髄再生を目指した新しい歯内療法を開発することを目的としている。歯の発生期における歯根形成端領域での環境を明らかにするために、組織学的な実験を中心に、細胞外基質の役割の解析を行ってきた。細胞外基質の中でも、血管形成において、重要な役割を担っているfibrillinタンパクに着目し解析をすすめた。 サンプルには、主に、胎生14.5日齢から出生後15日齢のマウス臼歯を用い、fibrillin-1とfibrillin-2の、歯髄組織での局在について、組織学的解析を行った。サンプルは、無固定、非脱灰にて凍結切片を作成し、免疫組織学染色によって、細胞外基質蛋白の発現パ ターンを観察した。その結果、fibrillin-1は歯冠形成期から歯根形成期にかけて、歯乳頭には観察されなかったが、fibrillin-2は歯冠形成期から歯乳頭領域に広範囲にわたり観察され、さらに、歯根形成期になると、歯乳頭領域の中でも、特にHertwig’s上皮鞘周囲、歯根形成端歯髄組織に明らかな発現を認めた。また、ヒトのサンプルとして、便宜抜去となった上顎乳犬歯と下顎第二小臼歯を用い、同様に実験を行った。その結果、歯髄組織中に広範囲にみられたのはfibrillin-1であり、血管周囲に線維状の発現が多量に観察された。Fibrillin-2は、象牙芽細胞の周囲に多くみられ、fibrillin-1とfibril lin-2の発現領域には明らかに違いがあり、マウスとヒトの間にも違いがみられた。さらに、血管形成との関係を組織学的に解析するために、CD31およびαSMAとの二重染色を試みており、データを集積している段階である。
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