2016 Fiscal Year Research-status Report
炎症メディエーターHMGB1の歯周炎における機能解明
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16K20670
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
山城 圭介 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 助教 (30581087)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | HMGB1 / 歯周炎 / サイトカイン / マクロファージ |
Outline of Annual Research Achievements |
我々はHMGB1がサイトカインの産生を促進することによって,歯周炎の発症と進行に促進的に作用すると考え,これまで研究を行ってきた。そこで今回は,抗HMGB1抗体が歯周炎の発症と進行を抑制するという仮説を立て,in vitro および in vivo での検討を行った。in vitro では,歯肉上皮細胞およびマクロファージ様細胞の培養系に,HMGB1産生性を有するTNF-αを添加および抗HMGB1抗体を添加し,これらの細胞から分泌されるサイトカインを網羅的に調べた。その結果,歯肉上皮細胞では炎症刺激で産生が増加するGM-CSFの産生が抑制され,マクロファージでは同様に炎症刺激で産生が増加されるIL-1βおよびTNF-αの産生が抑制されることが明らかとなった。また,in vivoでは,歯周炎モデルマウスに抗HMGB1抗体を投与し,ミエロペルオキシダーゼ活性,歯槽骨吸収量を経時的に調べたところ,歯周炎早期にはミエロペルオキシダーゼ活性の著明な抑制が見られ,晩期には歯槽骨吸収の軽度の抑制が見られた。これらの結果から,抗HMGB1抗体はIL-1β,TNF-αおよびGM-CSFの産生を抑制することによって,歯周炎の発症および進行を抑制する可能性があると結論づけた。これらの結果をまとめ,現在Infection and immunity に投稿中である。今後はマクロファージにおいて特異的にHMGB1の発現が阻害されたコンディショナルノックアウトマウスを用いて研究を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の予定では平成28年度にコンディショナルノックアウトマウスを用いた実験を行う予定であった。しかし,動物実験計画書などの申請受理が遅れたこと,また,動物実験施設の移動があったことから,平成29年度にずれ込むこととなった。しかし,動物実験施設の移転および動物実験計画書などの準備は整ったことから,平成29年度は滞りなく研究がすすむ予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
HMGB1遺伝子が欠損したコンディショナルノックアウトマウスおよびコントロールマウスを用いて,歯周炎モデルマウスを作成する。その後,分子イメージングによる炎症の定量,μCTを用いた骨吸収量の測定,組織切片を用いた免疫染色を行う。また,組織より全RNAを抽出し,遺伝子発現解析を行う。
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Research Products
(2 results)