2016 Fiscal Year Annual Research Report
歯肉接合上皮ランゲルハンス細胞と上皮バリアとの関連性に着目した抗原捕捉機序の解明
Project/Area Number |
16K20671
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
吉本 哲也 広島大学, 大学病院, 歯科診療医 (60758209)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | マウス / 細胞間接着 / 絹糸結紮歯周炎モデル / 歯肉接合上皮 / アポトーシス / smad2 |
Outline of Annual Research Achievements |
歯周炎発症期マウスモデルの樹立と歯肉接合上皮破綻機序についての病態解明を行うために,マウス上顎第二大臼歯に5-0 の絹糸を結紮した実験的マウス歯周炎モデルを作成し,結紮3,6,12,24時間後,2,3,5,7日後においての歯肉上皮組織の破壊程度,炎症細胞の浸潤を検討した。その結果,細胞間接着の破壊は,結紮24時間後ぐらいから確認され始め,結紮3日目ぐらいに顕著な破壊像を示した。その後,歯周組織は継時的に接合上皮の創傷治癒が起こり始めた。その時点でのマウスにおいて,歯周炎が及ぼす全身的な影響を確認するために,血清中のSAA,IL-6,エンドセリンを確認したところ,7日までには顕著な上昇は認められなかった。 上皮細胞間結合を可逆的に調節することを目的として,細胞間結合の破壊に関連するアポトーシスのメカニズムを解析を行った。Aggregatibacter actinomycetemcomitans刺激によって誘導されるアポトーシスの経路として,Aaの外膜タンパクであるouter membrane protein 29がfibronectinに結合することで歯肉上皮細胞のintegrin beta1を介してFAKのリン酸化が起こり,継いでactin rearrangementが起こる。その結果として,基質中の潜在型TGF-betaが活性化してリリースされ,TGF-betaレセプターにシグナルが入り,smad2のリン酸化及びアポトーシスが起こることを明らかにした。このことから,smad2の制御によって細胞間バリアの調節が可能になる可能性が示唆された。
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