2016 Fiscal Year Research-status Report
TLR2遺伝子を標的としたエピジェネティクス制御による新規歯周治療薬の開発
Project/Area Number |
16K20675
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
田中 麗 九州大学, 大学病院, 助教 (50734993)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 歯周炎 / DNAメチル化 / Decitabine |
Outline of Annual Research Achievements |
慢性歯周炎は細菌感染により惹起され,炎症の進行に伴い骨欠損等の歯周組織破壊を引き起こす。その病態は複雑であり,不明な点も多い。そのため,病態解明及び新規治療薬の確立が期待されている。一方,申請者らは、歯肉上皮細胞においてDNAメチル化が炎症反応を制御している可能性を見出している。本研究では,さらに,歯周炎の病態とDNAメチル化の関連を解析し,エピジェネティクスを標的とする新規歯周治療薬を開発すること目的としている。 本年度はマウスの臼歯部に結紮糸を留置し歯周炎を誘導する歯周炎モデルマウスの作成に成功した。またそのマウスを用いて,DNAメチル化阻害剤であるDecitabineをoral gavage法で投与することで,実験的歯周炎により誘導される歯槽骨吸収が抑制されることを明らかにした。次に、そのメカニズムを同定するため,組織切片を作成し,TRAP染色により破骨細胞の活性化を調べたところDecitabineは破骨細胞活性を抑制した。また,免疫組織染色により,DecitabineはRANKL-OPG発現のバランスに影響を及ぼすことを示した。さらに、CD14+単球を用いた破骨細胞分化実験において、Decitabineは破骨細胞分化を抑制し,さらに抗炎症性サイトカインであるIL-10,TGF-βのmRNA発現を亢進させることを確認した。つまり,本研究においてDecitabineは抗炎症性サイトカイン発現を誘導し,破骨細胞活性に関与するシグナル経路を制御することで,歯周炎モデルマウスの骨吸収を抑制する可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた歯肉上皮細胞の炎症状態でのエピジェネティクス解析は遅れているものの、本年度は歯周炎モデルマウスを用いた、DNAメチル化阻害剤の効果、解析の解明が前進したと考え、上記の区分と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
以下の研究を推進する予定である。 1. ヒト歯肉上皮細胞におけるエピジェネティクス解析:歯周病原細菌であるP.gingivalis誘導のDNAメチル化を含むエピジェネティクス異常の解析、歯周炎の病態の関連を解明する。 2. Decitaibne による骨吸収抑制作用のメカニズム解明:引き続きDecitabineによる破骨細胞の活性を抑制機序を解明する。 3. Decitabine効果のDNAメチル化の網羅的解析:Decitabineによる、DNA脱メチル化のターゲットとなる遺伝子を解明する。
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Causes of Carryover |
計画していた実験が難航し、当初予定していた試薬等の購入を保留しているため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
引き続き、実験は継続して行なっているため、次年度に必要な試薬等を購入する予定としている。
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Research Products
(8 results)