2017 Fiscal Year Research-status Report
スダチ果皮特有フラボノイドを用いた歯周病性歯槽骨吸収の新たな予防法の確立を目指す
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16K20677
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Research Institution | Josai University |
Principal Investigator |
伊東 順太 城西大学, 薬学部, 助教 (40609096)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 骨代謝 / 破骨細胞形成 / 炎症性骨破壊 / ポリメトキシフラボノイド / スダチチン |
Outline of Annual Research Achievements |
骨量は、破骨細胞による骨破壊および骨芽細胞による骨形成のバランスにより一定に保たれている。一方で活性酸素種(ROS)が破骨細胞においてRANKLの細胞内シグナル伝達物質として働くとの報告がある。近年、スダチ果皮特有のポリメトキシフラボノイドsudachitin(SD)が抗炎症・抗酸化作用を持つことが報告されている。そこで、本研究では、抗炎症・抗酸化作用を有するsudachitinの骨代謝,とりわけ炎症性骨破壊と破骨細胞形成に対する作用機序を明らかにすることを目的とした。本年度はin vivoの炎症性骨破壊モデルマウスを用いてSDの炎症性骨破壊に対する効果を明らかにすることを目的とした。 炎症性骨破壊モデルは、頭頂骨骨膜下に1日1回,100 ugのLPSを5日間連続投与し炎症を誘発させ作成した。LPS投与開始6日目でのマウスの頭蓋骨をuCTにて解析し、LPS投与によって矢状縫合に沿った両側の頭頂骨に大きな骨吸収を示す領域が観察された。LPSとともに2uMのSDを投与した群において,LPS投与群同様,矢状縫合両側に大きな骨吸収を示す領域が観察された。しかし,10 uM,50 uMのSDをLPSと同時に投与するとLPSで誘導された炎症性骨吸収が減少し,PBS投与の対照群と同様にスムーズな矢状縫合部を示した。10 uMと50 uM SDの単独投与では骨吸収像に変化は認められなかった。 このuCT解析と一致して,LPS投与で炎症性骨破壊を誘導された頭頂骨中の破骨細胞の骨吸収に必須な酒石酸耐性酸ホスファターゼ(TRAP, Acp5)およびcathepsin K (CtsK)のmRNAレベルは,LPS投与によって大きく上昇した。そして,その上昇レベルは10 uM,および50 uMのSDによって減少した。以上のことから、sudachitinは炎症性骨破壊を抑制する作用があることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題では、in vitroおよびin vivoにおけるsudachitinの骨代謝に対する効果を明らかにすることを目的としており、本年度においてin vivoにおける解析が順調に進み、当初の予定通り進展しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、炎症性骨破壊に対するsudachitinの抑制作用が骨芽細胞への作用を介してもたらされたものか,破骨細胞前駆細胞への直接作用に起因するものかを検討するため,マウス頭蓋骨から単離した骨芽細胞と骨髄からの破骨細胞前駆細胞との共存培養系における破骨細胞形成に対するsudachitinの作用を明らかにする予定である。
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Causes of Carryover |
(理由)当該年度において、実験に使用する実験動物が当初予想していたよりも使用量が下回ったことによりその後の解析等にかかる費用も少なくなったためと考えられる。
(使用計画)次年度はin vitroの共存培養による解析を実施する予定であることから、物品費(試薬及び実験動物と飼育に関わる費用)が増加することが予測されるので、そのために充足させたいと考えている。
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