2016 Fiscal Year Research-status Report
共培養下で分化誘導した歯周組織微小血管のin vivoにおける三次元的組織解析
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16K20679
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Research Institution | The Nippon Dental University |
Principal Investigator |
清水 豊 日本歯科大学, 新潟生命歯学部, 助教 (10734717)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 歯周組織 / 再生療法 / 細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
歯周病は、歯周組織のみならず血管を介して全身に影響を及ぼし、糖尿病や動脈硬化、虚血性心疾患などの発症、進行に関与することが考えられている。なかでも糖尿病は、歯周病に対する重要なリスクファクターと考えられている。歯周病は、網膜症、腎症、神経障害、細小血管障害、大血管障害に続く糖尿病の第6番目の合併症と提唱されており、これらの合併症はいずれも血管障害に起因するものである。糖尿病モデル動物実験では、歯肉の血流量は著しく減少し、また歯肉の血管内皮細胞の機能も減弱すると報告されている 。歯周組織の血管内皮細胞の維持および再生は、歯周組織の恒常性維持や歯周組織の再生における血液供給、創傷治癒において重要な役割を果たすと考えられる。 本研究では、再生療法の新たな細胞源として期待される脱分化脂肪細胞 (DFATs) をより効果的に歯周組織の血管再生に応用するため、ラット脱分化脂肪細胞 (RDFATs) をラット歯肉由来血管内皮細胞 (RGECs) と共培養し、in vivoにて細胞を歯周組織へ移植した際の血管再生について組織学的検討を行うことを目的としている。 本年度は、RDFATsおよびRGECsを分離培養し、同定を行った。さらに、RDFATsとRGECsの共培養を行い、RDFATsの分化誘導に与える影響について検討した。 本研究では、RDFATsは、RGECsとの共培養により血管内皮細胞マーカーであるCD31およびvon Willebrand因子の発現と血管周皮細胞マーカーであるNG2の発現を認めた。しかし、血管内皮細胞用培地で培養を行ったRDFATsでは、NG2の発現はわずかに認める程度であった。したがって、RDFATsは、血管内皮細胞への分化能を有する一方、RGECsとの共培養により、微小血管の成熟安定化に関与する血管周皮細胞への分化が促進されることが考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度に予定していた細胞の調整および同定は、遅滞なく行われた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、Sprague Dawley (SD) 系GFPラット由来のRDFATsとRGECsを共培養し、共培養後のRDFATsを免疫不全モデルであるヌードラットの歯周組織に移植し、その後の血管再生過程について検討を加える予定である。当初は、糖尿病モデルであるGKラットに移植する予定であったが、移植後の拒絶反応を避けるため、免疫不全モデルラットを用いることとした。
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Causes of Carryover |
本学研究室における既存の物品・消耗品等を使用することにより、本年度の使用額が予定金額より少額となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は、複数種の抗体や蛍光色素が必要であり、それに準じた細胞培養の消耗品も必要である。また、複数種の実験動物が必要であるため、それらの購入費用として繰り越すこととする。
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