2017 Fiscal Year Research-status Report
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16K20682
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Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
宮部 愛 愛知学院大学, 歯学部, 講師 (70734929)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 歯周病 / 動脈硬化 / 炎症 |
Outline of Annual Research Achievements |
慢性炎症性疾患である歯周病とアテローム性動脈硬化の間には、相関関係があることが示唆されている( Beck et al. Atheroscler Thromb Vasc Biol 21:1816-22,2001)。歯周病と動脈硬化に関する数多くの研究が報告されているが、歯周病が動脈硬化に関与する詳細なメカニズムについては明らかではない。本研究では動脈硬化における歯周病の影響とその機序を解明し、歯周病の予防や治療が心血管疾患の進展の抑制に有用である事を明らかにする。 申請者の所属する講座では、歯周炎の存在で、血管内皮細胞においてNF-κBの活性化とVCAM-1の発現が増加することを明らかにした(Miyajima et al.Sci Rep 4:5171,2014)。加えて予備実験において、新生内膜中に炎症細胞が観察されていることから内膜増殖は炎症の影響を受けており、慢性炎症性疾患である歯周炎の存在は、アテローム性動脈硬化の進展に影響を与えると考えている。また血管リモデリングにおいて、炎症が血管平滑筋の増殖、遊走にどのように影響を与えるかが新生内膜形成と血管狭窄の増悪においては重要であると推察される。これまでに申請者は血管リモデリング病的な血管壁のリモデリングには血管平滑筋細胞の増殖、遊走が新生内膜形成と血管狭窄に重要な要素であることと、血管平滑筋細胞の増殖と遊走にはAMPKシグナリングの活性化が重要であることを明らかにした。 本研究では、これまでに歯周病が及ぼす培養血管平滑筋細胞の増殖、遊走およびそのシグナルの検討を行う事で少なくともその一部は解明されつつある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
培養細胞を用いたin vitroの実験におけるLPSのHASMCの増殖に関するシグナルの確認は概ね予定通りに進捗している。 モデルマウスを用いたin vivoの実験においては、モデルマウスの作成や評価等に想定以上に時間がかかっており、現在この点で実験の遅れが生じている。その理由としては、当初よりモデルマウスの作成に関する手技の安定が想定していた以上に難しかったこと、また、継時的な変化を検討するためにサンプルを採取する際のプロトコールの決定に時間がかかっていることがあげられる。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までに、歯周病が及ぼす培養血管平滑筋の増殖や遊走に関わるシグナルの少なくとも一部が解明されつつあり、今後はin vitroの実験ではそれがどのように他に作用して影響を及ぼしていくか、またin vitroの実験で得られた成果をモデルマウスを用いて生体での反応はどうであるかを検討していく予定である。
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Causes of Carryover |
購入した実験用試薬の価格が当初の見込みよりもメーカーによる価格改定で、わずかに安価になったため。
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Research Products
(5 results)