2016 Fiscal Year Research-status Report
高齢者歯科治療時のリスク改善に効果的な精神鎮静法の応用方法の確立
Project/Area Number |
16K20686
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
竹生 寛恵 北海道大学, 大学病院, 助教 (40609103)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 自律神経活動 / 心拍変動解析 / ストレス / 高齢者歯科診療 / 精神鎮静法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、新規開発自律神経活動モニターシステムを用いて高齢者歯科治療に対する種々の精神鎮静法の効果を評価することで、安心・安全な高齢者歯科診療の確立することである。 本年度は、まず補綴治療の一つであるアルジネート印象材を用いた印象採得が自律神経活動(LF/HF:交感神経活動の指標)に及ぼす影響について成人ボランティア(20歳代の歯科研修医12名)を対象に検討を行った。その結果、恐怖心のない被験者の多くは、交感神経活動の上昇は見られなかったことから、測定期間を通じて強いストレスは感じていなかったことが示唆された。ただし、印象採得中よりも印象前の方が、交感神経活動が高い傾向がみられたことから、処置自体よりも精神的なストレスの方が大きい可能性が示唆された。一方、恐怖心の強い被験者では、測定期間を通じて高い交感神経活動が持続した。血圧や唾液アミラーゼは測定期間を通じて大きな変化は認められなかった。 次に、高齢患者(北海道大学病院歯科診療センターに通院中の60歳以上の患者,男性4名,女性6名)に対して局所麻酔および超音波スケーラーを用いたスケーリングを行った際の血圧、心拍数および自律神経活動の変化について健全な若年成人ボランティア(20歳代の歯科研修医10名)と比較して検討を行った.それらの結果から、血圧および心拍数は、全ての段階で大きな変化は認められなかった。一方、交感神経活動は若年成人では処置開始前に最も高い値を示し、補綴治療時と同様に侵害刺激よりも精神的なストレスの方が全身状態に影響を及ぼす可能性が示唆された。一方、高齢患者では処置中も交感神経活動が上昇する患者が多いことが明らかとなった。このことから高齢患者では治療時の侵害刺激や麻酔薬に含まれるエピネフリンが全身状態に影響を及ぼしている可能性が示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度の目標は、高齢患者への種々の歯科診療を行った際の自律神経活動の変化を測定して歯科診療が高齢者に及ぼす影響について評価を行っていくことであった。これまでに局所麻酔や超音波スケーラーなどの保存治療およびアルジネート印象材を用いた印象採得による補綴治療が自律神経活動に及ぼす影響について評価を行い、種々の歯科診療時のどの段階で被験者がストレスを感じているかについても検討することができたが、実際には、まだボランティアを対象にした評価が中心であり、高齢者を対象とした症例数が不足している。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は、高齢者を被験者とした症例数を蓄積するとともに、精神的なストレスを減少させる方法として音楽鎮静法の効果についての検討も同時並行して進めていく。
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Causes of Carryover |
本年度行う予定であった成果発表および英文投稿が遅れているため使用金額が減少した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度に成果発表および英文投稿を行う予定である。
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Research Products
(2 results)