2017 Fiscal Year Research-status Report
高齢者歯科治療時のリスク改善に効果的な精神鎮静法の応用方法の確立
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16K20686
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
竹生 寛恵 北海道大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (40609103)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 自律神経活動 / 心拍変動解析 / ストレス / 高齢者歯科診療 / 精神鎮静法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、新規開発自律神経活動モニターシステムを用いて高齢者への歯科治療時における種々の精神鎮静法の効果を評価するとともに、安心・安全な治療方法を確立することである。 前年度は成人ボランティアを対象とした超音波スケーラーを用いたスケーリングおよびアルジネート印象材を用いた印象採得を行った際の自律神経活動(LF/HF:交感神経活動の指標)に及ぼす影響について評価を行ったが、本年度は歯科治療時のストレス軽減方法として、音楽鎮静法や嗅覚療法および抱擁効果の影響について介入研究によりリスク改善因子について評価、検討を行った。 具体的には、成人ボランティアに対して歯周ポケット検査およびスケーリングを行った際にリラックス効果があるとされているヒーリングミュージックをヘッドホンを用いて聴かせる音楽鎮静法、あるいはアロマデイフューザーをデンタルユニットにおいて香りによりリラックスを図るアロマセラピーを用いて、その影響を評価した。 さらに、北海道大学病院歯科診療センターに通院する患者に対して義歯作製行程の一つである印象採得がどの程度のストレスを与えているかを検討するとともに、特に治療に不安を抱いている患者層に精密印象採得を行う際に、人型クッションの抱擁によるストレス緩和方法が有効であるかを検証した。 それらの結果から、歯周ポケット検査およびスケーリング時において音楽鎮静法およびアロマセラピーを行うことで、処置前に上昇する傾向のある交感神経活動を抑制させる効果があることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度以降の目標は、高齢者歯科治療時における介入研究によりリスク改善因子を検討する上でストレス軽減方法として精神鎮静法の一つである音楽鎮静法についてまずその有効性を様々な歯科治療下で評価することであった。 これまでに成人ボランティアに対して歯周ポケット検査およびスケーリングを行った際の音楽鎮静法の影響について評価を行い、歯科診療時のどの段階でストレス軽減効果をもたらすのかを詳細に検討することができた。さらに次年度行う予定であったアロマセラピーや抱擁効果による他の精神鎮静法についても様々な歯科治療時において評価を始めることができたため、この点については当初の計画以上の進展であったが、対象とする高齢患者に対しての評価が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度以降は本年度行った音楽鎮静法に加えて、すでに評価を開始しているアロマセラピーや抱擁効果あるいは映像療法などの精神鎮静法による歯科治療時のストレス軽減効果、あるいはそれらを併用することによる相乗効果についても評価を継続していく予定である。また高齢者を被験者とした症例数を蓄積する必要がある。
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Causes of Carryover |
本年度は成人ボランティアを被験者とした症例数が多かったが、その際の評価方法としてまず自律神経活動モニターを中心に行ったため唾液アミラーゼの計測にかかる唾液ホルモン計測キット類の経費が抑えられている。また、精神鎮静法の映像療法については次年度以降に行う予定であるため、これらにかかる経費も次年度に使用する予定である。また得られた知見は国際学会および英文論文誌に投稿を予定しているため、学会参加費、投稿料、英文校正料などにも使用する。
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Research Products
(1 results)