2016 Fiscal Year Research-status Report
乳幼児のう蝕地域格差改善を目指した社会環境および行動面からの地域介入研究
Project/Area Number |
16K20691
|
Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
山崎 亨 三重大学, 医学系研究科, 助教 (50752622)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | う蝕 / 地域格差 / 乳幼児 / 行動科学 / 社会的要因 |
Outline of Annual Research Achievements |
先進国の中で依然、虫歯(以下う蝕)が多い我が国の現状は、口腔保健領域において医療資源を十分に活用できておらず、社会環境や行動変容から多角的なアプローチの必要性が示唆される。またう蝕有病者率には地域格差が存在するが、その地域ごとでの要因検討および対策が十分になされていない。 平成28年度には、三重県の29市町全てにご協力を頂き、3歳児健康診査を受診された約5,000件の児童の保護者を対象として、保護者のう蝕予防に対する意識や児童の生活習慣、保護者の雇用形態などに関するアンケート調査を実施した。三重県の全ての市町に対して同一のフォーマットを用い、これほどの規模で、保護者の労働環境や児童の口腔生活習慣を調査・分析した事例はこれまでにない。この調査結果は、三重県や各市町での健康政策、特に口腔保健の政策決定において貴重な基礎資料となる。またこの要因分析の結果は学会や論文等で報告され、他県や市区町村でのう蝕に関する地域格差の対策において、重要な科学的エビデンスになると考えられる。 ほか、三重県のある市町において、う蝕予防・予防促進を目的とした行動変容を伴う教育プログラムを実施した。教育プログラムのう蝕予防・治療への有効性の検討に加え、プログラム構成内容の実施率やプロセスについて分析し、本プログラムを今後別の地域や対象に応用するための改善点等を検証する。また、本研究では担任教諭が児童に健康教育を行ったが、プログラム核となる理論を抽出することにより、地域で保健師や歯科衛生士が保護者や幼児に健康教育を行えるよう、また他の研究や事業等で運用できるように分析する。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画書に基づいて、おおむね順調に進展している。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成29年度はアンケート調査結果の集計により、3歳児におけるう蝕罹患の決定要因を、社会的要因・個人的要因を含めて分析する予定としている。またこの結果を、平成29年度の日本口腔衛生学会や、三重県歯科保健担当者会議、論文等にて報告予定としている。 教育プログラムの介入効果やプログラムの改善点等をまとめ、アンケート調査の結果と併せ、三重県内の市町におけるう蝕地域格差の改善を目指して、社会的、行動変容アプローチに基づき介入研究の実施を開始予定としている。
|
Causes of Carryover |
アンケート調査の回収締切を3月末と設定したため、それらの回収、入力および集計費用を次年度に繰り越しした。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
繰り越し金額においては、アンケート用紙の回収、調査結果の入力および集計費に対し、使用する予定である。一方、翌年度分の請求助成金に関しては、当初予定通りの調査研究に対して使用予定としている。
|