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2016 Fiscal Year Research-status Report

口腔および腸内細菌叢の関連性の探索

Research Project

Project/Area Number 16K20692
Research InstitutionOsaka University

Principal Investigator

小川 泰治  大阪大学, 歯学研究科, 助教(常勤) (10543481)

Project Period (FY) 2016-04-01 – 2018-03-31
Keywords口腔細菌叢 / 腸内細菌叢 / 16S rRNAシークエンス解析 / 食品栄養摂取
Outline of Annual Research Achievements

口腔内には,700種類以上の微生物が口腔に固有の細菌叢を構成するといわれており,多数の微生物同士が複雑なネットワークを形成している.また,一度形成された細菌叢は口腔内環境の変化に応じて刻々とその姿を変えると推察される.口腔に生存する微生物は,口腔内疾患のみならず種々の全身疾患を引き起こすことが報告されている.これまで我々は高齢者が口腔内に保有する肺炎原性微生物を調査し,口腔状態との関連について報告してきた.しかし,全身の健康状態や加齢,薬剤服用などに伴う細菌叢の変化,また口腔清掃が及ぼす細菌叢への影響などについては未だ不明な点が多く,口腔内細菌叢に影響を及ぼす宿主および環境因子の解明が急務である.
近年,環境中に形成されるバイオフィルムなどの微生物塊に対して,微生物叢を固有の集団ととらえ群衆として解析を行うマイクロバイオーム研究が注目されている.この分野において特に研究が進んでいるのが腸内細菌叢の領域であり,食習慣などのライフスタイルや民族,年齢などの宿主生理的要因,アレルギー,肥満,糖尿病,炎症性腸疾患などの各種疾患が腸内細菌叢の構成と何らかの関連を示すことが明らかになってきている.多くの腸内微生物は口腔を経由して腸内に到達し定着すると考えられ,また口腔は全身の健康に直接的に影響する器官のひとつでもある.口腔と腸内とは環境が大きく異なるため,口腔には固有のマイクロバイオームが形成されているが,口腔と腸内の細菌叢との関連を示した報告はみられない.
これまでに,口腔と腸内の細菌叢の関連性はほとんど着目されておらず,特に口腔領域のマイクロバイオーム研究にとって大変意義深い知見が得られると考えられる.そこで本研究は,口腔および腸内細菌叢の変動が比較的少ないと考えられている青年期から壮年期の成人を研究対象とし,今後,さらに規模の大きな研究へ発展させるための基礎的データの蓄積を目指す.

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本研究は2ヵ年で実施予定の計画であり,研究初年度は,口腔ならびに腸内細菌叢の解析における条件検討を行い,細菌叢解析系の確立を目指し,細菌叢解析に適したサンプル採取,採得条件を決定した.
また次年度は,確立した解析法を応用し,対象者から採取した口腔サンプルおよび腸内サンプルの解析を行う.腸内細菌叢との関連が報告されている摂取食品の分析も同時に行うことで,摂取食品が口腔細菌叢へ与える影響を評価する.さらに,全身状態や歯科・栄養学的因子が口腔細菌叢へ与える影響を統計学的に分析する予定である.

Strategy for Future Research Activity

口腔細菌叢ならびに腸内細菌叢の解析:対象者の口腔,および腸内サンプルを採取し,細菌叢解析を行う.口腔サンプルは,唾液を専用容器に採取する.また,腸内サンプルは対象者に各自で糞便1 gを滅菌した専用のヘラを用いてスクリューキャップ式の専用容器に採取してもらう.口腔,および腸内サンプルの採取は同日もしくは一両日中に行う.すべてのサンプルは,個別の専用容器に採取し,冷凍保管する.採取した口腔および腸内サンプルから菌DNAを抽出・精製し,16S rRNAシークエンス解析を行う.シークエンス解析は専門の分析会社へ依頼する.さらに,得られた結果を解析し,口腔と腸内細菌叢の関連性を解析する.解析においては,①口腔細菌叢に影響を及ぼす因子,②既知の腸内細菌叢に影響を与える因子が口腔細菌叢へ及ぼす影響,③口腔細菌叢と腸内細菌叢の関連性を評価する.
食品・栄養摂取の評価:簡易型自記式食事歴法質問票5,6による食品・栄養摂取評価を行う.これは,過去1か月間の各食品の摂取頻度,摂取量,普段の食行動,調理方法を回答する質問票であり,日本人の食事摂取基準に基づいて開発された専用の栄養価計算プログラムにより,15種類の食品群と各種の栄養素の摂取量を算出することができる.摂取食品と腸内細菌叢との関連は以前より指摘されており,口腔細菌叢との関連を解析する必要がある.
統計学的分析:統計学的分析には,歯科および栄養疫学調査の各項目と口腔の細菌叢との二変量間の関連,次いで多変量解析を用い,多数の口腔機能および食品・栄養摂取と身体計測,血液検査,全身状態の中から,口腔細菌叢のパラメータに有意な関連を持つ項目を抽出する.

Causes of Carryover

実験に使用する汎用性消耗品類を研究室の資金(奨学寄附金)で一括購入したため,購入予定であった物品を一部購入しなかった.

Expenditure Plan for Carryover Budget

次年度使用額については,受託解析費用として使用する予定である.

  • Research Products

    (2 results)

All 2017

All Journal Article (2 results) (of which Peer Reviewed: 1 results,  Acknowledgement Compliant: 1 results)

  • [Journal Article] Characterizations of oral microbiota in elderly nursing home residents with diabetes: a pilot study.2017

    • Author(s)
      Ogawa T, Ogawa HM, Ikebe K, Notomi Y, Iwamoto Y, Shirobayashi I, Hata S, Kibi M, Masayasu S, Sasaki S, Kawabata S, Maeda Y
    • Journal Title

      Journal of Oral Science

      Volume: 印刷中 Pages: 印刷中

    • Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
  • [Journal Article] 口腔細菌叢から健康を考える -口腔は腸管に次ぐ細菌叢の宝庫-2017

    • Author(s)
      小川 泰治,広瀬 雄二郎,本多 真理子
    • Journal Title

      Medical Science Digest

      Volume: 43 Pages: 5-7

URL: 

Published: 2018-01-16  

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