2016 Fiscal Year Research-status Report
高齢就労者における職業性ストレスが口腔機能に与える影響に関する研究
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16K20698
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Research Institution | Kyushu Dental College |
Principal Investigator |
山口 摂崇 九州歯科大学, 歯学部, 助手 (50759222)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 職業性ストレス / 高齢就労者 / DMFT / 歯周病 / 高血圧 / 唾液検査 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、55歳以上の高齢就労者に対して職業性ストレスと口腔内機能、全身機能等の経年的な変化を把握することで職業性ストレスが口腔内機能等に及ぼす影響をコホート研究で明らかにすることを目的とした。 平成28年度はベースライン調査を実施した。対象企業は協力を得た北九州市のものづくり企業に加え、全国に事業所のある企業1社である。対象は50歳以上の高齢就労者とし、調査項目は質問紙調査(職業性ストレス簡易調査票、対象者属性、健康関連QOL、医療受療状況、生活習慣に関するアンケート)、口腔内指標(う蝕経験、歯周病検査、唾液検査、嚥下機能検査)、全身所見(全身疾患の有無、血圧、握力等)である。北九州市のものづくり企業に関しては既存のデータセット(169名)があることから、全国に事業所のある企業1社に対してデータ採集を行った。今回のデータ採集では東京、神奈川、仙台、名古屋、大阪、広島、福岡の7事業所において110名から上記のデータを収集した。 北九州市のものづくり企業のデータセットに関しては予備的検討として解析を行った。高血圧症の有無でPSマッチングを行い、55歳以上の高齢就労者においては、高血圧症の症状がある対象者はう蝕経験に有意差はないが、未治療のう蝕が多く、歯周病の状態も悪い傾向にあると示唆された。(論文投稿中) また、北九州市のものづくり企業及び今回調査した企業から取得したデータのうち、欠損値がない全274名において職業性ストレスが高ストレスと判定されたのは186名、中・低ストレスと判定されたのは88名であった。今後、高ストレス負荷の有無で群分けをして、PSマッチングを用いた交絡因子の調整を行い、その2群で口腔内機能、全身所見等を比較していくこととしている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
年度当初に研究調査フィールドとして候補に挙がっていた企業が、昨年の熊本地震の影響で調査に入ることができなくなった。しかし、リクルートを継続して実施した結果、別の企業の協力が得られた。 同企業における調査対象者のサンプリングにおいて地域性を加味して、全国7拠点(東京、神奈川、福岡、名古屋、仙台、大阪、広島)に事業所において歯科健診を実施することができた。 その結果、全事業所で110名(50歳以上の高齢就労者)のデータを採取することができた。 当初のサンプルサイズよりサンプル数は少ないものの、健診企業が確保でき、実際にデータ採取ができたため、初年度の研究計画であるベースライン調査ができ、解析も随時実施している。よっておおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、調査対象企業のリクルートを継続的に行い、理想的なサンプルサイズに近づける。また、現在調査に入っている企業においては、2年目も同様に健診を継続する。また、現存するデータセットと今回採取したデータにおいて中間解析を開始し、属性による職業性ストレスを基軸とした比較を実施していくこととする。さらに2年目で得たデータに関しては、1年コホートとして解析を進めていく。
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Causes of Carryover |
当初データ採取を実施する予定だった対象企業が熊本地震の影響で調査ができなくなってしまった。そのため別の企業をリクルートして調査を開始した。新規調査対象企業の開拓のため、旅費が想定していた額よりもかかったが、新規調査対象企業において、データ採取における調査対象者数が想定していた人数より少なくなってしまった。この対象者の減少に伴い、謝礼や健診器具等の必要数も併せて減少したことにより、想定していた物品費が減じている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
生じた差額は、調査対象企業のリクルート用の旅費として用いる予定である。
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