2017 Fiscal Year Research-status Report
高齢就労者における職業性ストレスが口腔機能に与える影響に関する研究
Project/Area Number |
16K20698
|
Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
山口 摂崇 北海道医療大学, 歯学部, 助手 (50759222)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 職業性ストレス / 高齢就労者 / DMFT / 唾液検査 / 高血圧 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、55歳以上の高齢就労者における職業性ストレスと口腔内機能、全身機能等の経年的な変化を把握することで職業性ストレスが口腔内機能等に及ぼす影響をコホート研究で明らかにすることを目的とした。 平成29年度は、1.前年度調査企業において一年経過後の調査と2.新規対象企業のリクルート及び3.新規対象企業におけるベースライン調査を実施した。 1に関しては115名のデータを採取することができた。対象企業は前年度調査実施企業である。2に関しては前年度実績では予定サンプル数を下回っていたため、新規で対象企業のリクルートを実施し、3社協力を得られた。3に関しては、前述の3事業所で新規調査を実施し、56名のデータを採取できた。この結果、予定サンプル数以上のサンプルを取得できた。 調査項目は質問紙調査(職業性ストレス簡易調査票、対象者属性、健康関連QOL、医療受療状況、生活習慣に関するアンケート)、口腔内指標(う蝕経験、歯周病検査、唾液検査、嚥下機能検査)、全身所見(全身疾患の有無、血圧、握力等)である。 また、現在までに取得したデータのうち、欠損値がない全366名において職業性ストレスが高ストレスと判定されたのは186名、中・低ストレスと判定されたのは177名であった。このデータをもとに解析を実施し、ベースラインスタディ結果を論文に作成中である。本ベースラインスタディでは職業性ストレス高負荷状態とコントロール群(中・低ストレス)で比較した際、各種交絡因子を調整後であっても、歯数と職業性ストレスとの間に関連性が認められたという解析結果が得られた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度調査では、前もって計算していたサンプル数を満たすことができなかった。本年度調査では前年度調査実施企業に再度リクルートを実施し、対象者数を10名増加することができた。また、新規対象企業のリクルートを実施し、新規に56名の対象者からデータを採取することができたため、予定していたサンプル数(300名)を達成することができた。 また現在論文の作成にも鋭意取り掛かっており、前年度の予備的検討の論文(査読中)に加え、サンプル数を増加してからのベースラインスタディの解析が完了しており、論文作成中である。この解析内容を次年度の国際学会で発表していくことにしている。 以上、予定サンプル数の達成と論文化の進捗よりおおむね順調に進展していると考える。
|
Strategy for Future Research Activity |
昨年度の一年経過データを中間解析するとともに、昨年同様データ採取を実施する。すべての対象企業でのデータ採取を終了した後、一年コホート研究、ならびに2年コホート研究の解析を実施し、論文化に繋げていくこととする。 また2年目までのデータを解析したベースライン調査を国際学会(IADR)にてポスター発表することになっている。そこで研究発表するだけでなく、国内外の研究者と意見交換を実施し、解析方法等のブラッシュアップを行う。さらに研究に賛同していただける研究者がいれば、研究協力者として各地での職業性ストレスデータ等の採集をお願いするつもりである。 論文の作成や各種学会での研究発表を通じて、研究フィールドの拡大及び研究の質的信頼性、妥当性の向上を図る。 さらに本年度が科学研究費助成の最終年度であることから、継続申請に足る研究結果を取りまとめるとともに研究協力者の増加を図ることで、本研究を発展的に実施するための足掛かりとする。
|
Causes of Carryover |
初年度で予定サンプル数を得ることができなかったため、対象企業の新規リクルート、新規対象者のリクルートを実施した。そのため、リクルートに行くための旅費、新規調査企業の歯科検診によるデータ採取に関して人件費、旅費が予定額よりも超過したため、前倒し請求を実施した。新規調査に係る人件費が想定よりも少なく抑えることができたので、前倒し請求分が一部残った。 本年度は国際学会での研究発表等を予定していることもあり、調査に関するお金を削減する必要がある。調査日程、調査スタッフ数の適正化を実施するとともに同一地域の事業所においては複数の企業を同一期間に実施し、対象者の少ない事業所は調査対象から外す等、必要サンプル数を効率よく確保していくことにしている。
|