2018 Fiscal Year Annual Research Report
プロバイオティクスが糖尿病患者の口腔の健康と免疫機能にもたらす影響の解明
Project/Area Number |
16K20707
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Research Institution | Fukuoka Dental College |
Principal Investigator |
藤本 暁江 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 助教 (60707983)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | プロバイオティクス / 糖尿病 |
Outline of Annual Research Achievements |
現代社会において、糖尿病患者は増加の一途をたどっている。糖尿病の多くは2型糖尿病であり、生活習慣病のひとつにあげられている。プロバイオティクスとは、消化管内の細菌叢を改善し宿主に有益な作用をもたらしうる生きた微生物とそれらの増殖促進物質と定義される。利用される微生物の殆どは乳酸菌やビフィズス菌等で、これらを含む食品を摂取することにより消化管内フローラのバランスを整え疾病の治療や予防に役立たせる方法の有効性は近年多くの臨床研究で報告されている。口腔の健康におけるプロバイオティクスの影響について、申請者はこれまでにプロバイオティクスの1つであるLactobacillus salivarius WB21株 (WB21) を用い歯周病患者や口臭がある患者に対してプロバイオティクスの効果を検証し、歯周組織の炎症や口臭の改善に有効であることを報告した。糖尿病は歯周病の増悪因子の1つとされており、プロバイオティクスの口腔への利用が糖尿病に与える影響について評価を行うことが本研究の目的である。 まず本研究のプレ実験として、健康なボランティアの高齢者33人に対しランダム化二重盲検プラセボ対照クロスオーバー試験を行った。無作為に2群にわけ、乳酸菌配合タブレットあるいはプラセボタブレットを8週間、一日3回食後 (ブラッシング後) に1錠舐めるよう指示した。8週間の休止期間後、前回とは異なるタブレットを8週間舐めるよう指示した。それぞれの摂取時期の前後に、揮発性硫黄化合物濃度、プラーク付着量、歯肉出血、歯周ポケット、舌苔付着量、唾液中の分泌型IgA濃度を調べた。その結果、WB21配合タブレットを摂取した期間では無配合タブレット摂取した期間に比べて舌苔スコアが減少し、唾液中の免疫グロブリンのひとつであるsIgA抗体の量が増加した。免疫グロブリン療法により糖尿病が改善されたという報告もあり、糖尿病と免疫機構と関連性について今後さらなる解明が必要と思われる。
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