2017 Fiscal Year Annual Research Report
糖尿病性潰瘍の治癒促進に向けたエストロゲンによる血管新生促進作用の解明
Project/Area Number |
16K20712
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
向井 加奈恵 金沢大学, 保健学系, 助教 (30755335)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 糖尿病 / エストロゲン / 創傷治癒 |
Outline of Annual Research Achievements |
糖尿病モデル動物へのエストロゲン投与による皮膚創傷治癒への効果の検証の目的のもと、下記の研究計画を実施した。なお、交付申請時の方法に修正を加えた上で実施した。 野生型(WT)、2型糖尿病モデル(db/db)、db/db+EB(estradiol benzoate)、db/db+oil(sesame oil)の4群を設定し、背部に直径4mmの円形皮膚全層欠損創を作製し、15日間治癒過程及び血糖値(BS)の推移を比較した。創作製後7、14日目の創部組織を採取し、各種免疫組織化学染色を実施した。db/db群はWT群と比べて14日目のBSが有意に高く、創面積比が有意に大きかった。また、db/db群はWT群と比べて7日目のマクロファージ数が有意に少なく、7、14日目の再上皮化率及び脈管形成の割合が有意に低かった。db/db+oil群もWT群と比べて14日目のBSが有意に高く、7日目の脈管形成の割合が有意に低かった。しかしながら、db/db+oil群はdb/db群と比べて14日目の創面積比が有意に小さく、7日目のマクロファージ数が有意に多く、7、14日目の再上皮化率が有意に早かった。一方で、db/db+EB群はWT群と比べて創作製後14日目のBSは高値を示したものの有意差はなく、db/db及びdb/db+oil群と比べて有意に低かった。また、db/db+EB群は14日目の創面積比がWT及びdb/db群と比べて有意に小さく、7日目のYm1陽性細胞数割合は他の3群と比べて有意に多かった。さらに、db/db+EB群はdb/db群と比べて7日目のマクロファージ数が有意に多く、7、14日目の再上皮化率が有意に早く、14日目の脈管形成割合が有意に高かった。以上の結果より、2型糖尿病マウスへのEB創部塗布はYm1陽性細胞数を増加させ、上皮形成や脈管形成を促進し、皮膚創傷治癒を促すことが示された。
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