2016 Fiscal Year Research-status Report
輸液実施部位の中枢側から正確な採血データを得るための実証研究
Project/Area Number |
16K20717
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Research Institution | Aomori University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
小池 祥太郎 青森県立保健大学, 健康科学部, 講師 (30553317)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 採血 / 採血部位 / 輸液 |
Outline of Annual Research Achievements |
目的】輸液実施部位の中枢側は血液に輸液が混入してしまい不正確なデータとなることから採血部位として不適切である。一般的に肘窩部は採血時の第一選択部位であるが、輸液を実施する場合、前腕にルート確保されることが多く、肘窩部は前腕の中枢側となるため採血部位として選択できない。しかし、肘窩部は表在静脈が太く、安全性も高いため、輸液の影響を受けずに正確な採血データを得ることができるのであれば、選択したい部位である。そこで、本研究では輸液を一時的に止めることで、輸液の影響を受けずに輸液実施部位の中枢側から正確な採血データを得ることが可能かを検証した。 【方法】ウサギ5匹に左耳介静脈からシリンジポンプを用いてソリタT3注入し、①輸液を流したままの中枢側、②一時的に輸液を止めた状態での中枢側、③反対側の耳介静脈から採血をおこない、電解質や血球検査といった基本的な項目の血液分析を行った。 【結果】すべての検査項目において輸液をしたまま中枢側から採血したデータと輸液を止めた中枢側および反対側とのデータに有意な差が認められた。しかし、輸液を止めた中枢側と反対側のデータに差は認められなかった。 【考察】本研究結果から、輸液を一時的に止めることで、輸液実施部位の中枢側からも輸液の影響を受けない採血データが得られることが確認された。乳房切除術後やシャントを造設している患者が健側にルート確保している場合、下肢が採血部位として選択されることが多いが、一時的に輸液を止めることで輸液実施側の上肢からの採血も可能になることが示唆された。次年度は本研究の学術論文への投稿と、ヒトを対象とした実証研究を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ウサギを対象とした動物実験を予定通り行い分析まで終えることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
仮説通りの結果となり、研究の進捗状況は良好である。次年度は本研究を発展させ、ヒトを対象とした実証研究を行っていく。また、基礎研究で得られたデータを学会発表や学術雑誌掲載への執筆・投稿も同時に進めていく。
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Causes of Carryover |
血液分析および血液分析会社への送料が予定より少額であったため当該助成金が生じた。次年度も血液分析は引き続き必要なため、有効活用していく。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当該助成金を血液分析業務委託費として使用する。
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