2016 Fiscal Year Research-status Report
専門職としての自信の特性を活かした新任保健師の現任教育プログラムの開発
Project/Area Number |
16K20725
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Research Institution | The University of Shimane |
Principal Investigator |
小川 智子 島根県立大学, 看護学部, 助教 (50551751)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 専門職としての自信 / 新任期 / 関連要因 / 現任教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
新任保健師の専門職としての自信を高める教育プログラムを開発するため,保健師の専門職としての自信の構造とその関連要因を分析した. 全国の107の自治体を無作為に抽出し,抽出された行政機関の常勤保健師1,512名を対象に無記名自記式で任意のアンケート調査を実施した.調査項目は,研究者が和英文献のシステマティックレビューに基づき自作した専門職としての自信(34項目),関連要因として,基本属性(性別,年齢,経験年数,所属機関),事業・社会資源の創出に関する保健師のコンピテンシー評価尺度,ヒューマンサービス職のバーンアウト尺度等である.自信の構造は,探索的因子分析によって明らかにするとともに,関連要因は,相関分析,一元配置の分散分析等により分析した. 調査票の回収は883名(回収率58.4%)であり,有効回答数は798名(有効回答率52.8%)であった.性別は,女性が775名(97.1%)であり,平均年齢は,42.6±10.18歳であった.所属機関は,市町村が最も多く,65.9%であった.保健師の専門職としての自信は「省察に基づく健康課題解決の蓄積」「上司や同僚の教育的支援」「根拠に基づく実践」「継続した個別支援」の4因子17項目で構成されていた.自信得点は,事業・社会創出に関する保健師のコンピテンシー得点と正の相関が見られ(r=0.620),ヒューマンサービス職のバーンアウト得点とは,負の相関(r=-0.462)がみられた.新任保健師は,経験年数6年以上の保健師と比較して有意に自信得点が低く,特に「省察に基づく健康課題解決の蓄積」「根拠に基づく実践」「継続した個別支援」の3因子で有意に低かった(p<0.00). 新任保健師が自信を高めるには,「省察に基づく健康課題解決の蓄積」「根拠に基づく実践」「継続した個別支援」を重視した教育プログラムが必要であることが示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画どおり量的調査を実施し,分析を進めている. 想定以上のアンケート回収により,入力と分析に時間を有していることから,当該年度計画していた学会発表は,次年度の学会において発表することが決定している.
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Strategy for Future Research Activity |
前年度より明らかになった新任保健師の専門職としての自信の特徴をもとに現任教育プログラムを実施し、その効果を検証する。 研究デザインは、概ね3か月程度の教育を受講した介入群と受講していない対象群の2群を比較する事前事後テストデザインとする。教育プログラムは、新任保健師が実践を省察するインシデントプロセス法を中心とした事例または事業検討を、月1~2回程度の集合型研修により実施する。プログラムのアウトカム評価には、前年度の研究から得られた専門職としての自信の構造を評価指標として使用し、ベースラインと教育プログラム終了直後、1か月後の計3回の介入群と対象群の評価得点の差を比較する。プロセス評価には、研修会に参加したことによって生じた気持ちの変化や日々の保健活動への進展などを質的記述的に分析し、教育プログラムの効果を検証する。
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