2017 Fiscal Year Research-status Report
専門職としての自信の特性を活かした新任保健師の現任教育プログラムの開発
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16K20725
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Research Institution | The University of Shimane |
Principal Investigator |
小川 智子 島根県立大学, 看護学部, 助教 (50551751)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 専門職としての自信 / 現任教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は、前年度の量的調査より明らかにした専門職としての自信の構造とその関連要因に関する研究結果を国際学会および国内学会で発表し、学会参加者から分析方法とその後の介入研究について有意義な意見をいただいた。それらの意見をもとに、専門職としての自信の構造とその関連要因を実務経験を持つ保健師に限定して再度探索的因子分析や確証的因子分析、一元配置の分散分析等を行って自信の構造と関連要因について検討した。 専門職としての自信の項目全てに対して経験を持つ保健師は、467名(30.9%)であり、保健師の専門職としての自信は、「発展的な公衆衛生看護活動」「現任教育での主体的な学習」「専門職としての根拠に基づく実践」「キャリア形成における職場環境」の4因子で構成されていた。また、自信の「発展的な公衆衛生看護活動」「専門職としての根拠に基づく実践」の因子は、経験年数10年以下の保健師がそれ以外の保健師と比較して有意に低かった。このことから、保健師の専門職としての自信の獲得には、経験年数10年以下の保健師が、公衆衛生看護活動の発展に向けて根拠に基づく実践を蓄積する経験が重要であることが示唆された。 再分析結果を踏まえ、実施予定であった介入研究における現任教育プログラムの対象を新任期だけでなく、経験年数10年以下の中堅期を含む保健師を対象とする教育プログラムに修正し、研究計画の修正を図った。平成30年度も引き続き教育プログラムの効果を検証する介入研究を実施する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
平成28年度に行った量的研究において、想定以上のアンケート回収が得られ、データ入力と解析に時間を要した。また、量的調査の分析結果を踏まえ、実施予定であった介入研究の現任教育プログラムの対象や内容を変更する研究計画の再検討に時間を要したため、引き続き30年度も介入研究を実施する。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度も前年度より明らかになった専門職としての自信の特徴をもとに、経験年数10年以下の保健師を対象に現任教育プログラムを実施して、その効果を検証する。 研究デザインは、概ね3か月程度の教育プログラムを実施し、教育プログラムの中で、自らの事例を提供して省察的実践の経験を蓄積した保健師(介入群)とプログラムに参加したのみの保健師(対照群)の2群を比較する事前事後テストデザインとする。 教育プログラムは、インシデントプロセス法を中心とした事例検討を月1回程度の集合型研修にて実施する。プログラムのアウトカム評価には、量的研究で信頼性と妥当性の得られた専門職としての自信の評価指標を用いてベースラインと教育プログラム終了直後、プログラム1か月後の計3回の介入群と対照群の評価得点の差を比較する。プロセス評価には、研修会に参加したことによって生じた気持ちの変化や日々の保健活動への進展などを質的記述的に分析して効果を検証する。
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Causes of Carryover |
研究計画の修正に伴い、補助事業期間を延長して引き続き研究を実施する。助成金は、介入研究の実施に伴うアルバイト雇用の人件費、研究参加協力者への謝金等として使用する。
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Research Products
(2 results)