2017 Fiscal Year Research-status Report
重症呼吸不全患者に対する安全で効果的な気道クリアランス方法に関する検討
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16K20746
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
櫻本 秀明 筑波大学, 附属病院, 副看護師長 (20755590)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 気管吸引圧 / 閉鎖式吸引 / せん妄 / 水分出納バランス |
Outline of Annual Research Achievements |
ガイドラインでは、気管吸引の吸引圧を最大20kPaまでとしているが、これは主に古典的な開放式の気管吸引システムを使用した場合のデータに基づいている。現在、集中治療室では、閉鎖式吸引と呼ばれる気管吸引システムの使用が主である。このシステム下で行った場合、人工呼吸器からの送気、圧サポートを受けられるため、肺胞内気の吸引による肺虚脱が起こりにくいとされる。したがって、閉鎖式吸引では、ガイドラインに示された吸引圧より高い圧で気管吸引を実施しても、合併症は起こりにくいはずである。この仮説に基づきウサギARDSモデルを使用した気管内吸引圧の差による生体に及ぼす影響を調査している。現在、実験中であり結果を比較するまでに至らないが今年度には一定の結果を出せるものと考えている。 また、臨床においておそらく閉鎖式吸引の使用とその合併症の少なさから気管吸引圧をガイドラインに示される圧以上にしていることが予想されるが、それらに関する実態調査はなされていない。そのため実際どの程度の圧で気管吸引が行われ、それに伴う合併症は観察されるのかは不明である。現在、これらの事に関する臨床での前向き観察研究の実施準備中である。倫理審査段階で、通過し次第研究をはじめる予定である。 さらに人工呼吸療法に関連したせん妄に関する後ろ向き観察研究を実施した。気道クリアランスを必要とする患者の多くは、人工呼吸を必要とする。これらの患者は浅鎮静で覚醒していることが多く、気道クリアランスには一定の患者協力と理解が必要である。そのためせん妄に関する実態調査とリスクファクターに関する分析を行った。結果として、CVPや水分出納バランスなどの浮腫の影響により、せん妄発症リスクが高いことが示された。これらの成果は2017度集中治療医学会で報告し、また2018年度アメリカの学会でも報告予定である。また、2018年度中の論文化を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ウサギARDSモデルが安定せず、実験が思うように進行していないこと。 また、所属の変更などで、臨床での観察研究の進行が遅れている
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Strategy for Future Research Activity |
ウサギARDSモデルの実験が安定しないことから、一定の成果を求めるため臨床での観察研究の実施へエフォートを多めにシフトする必要があると考えられる。所属機関が変わったが、動物実験、臨床観察研究に対する協力体制は得られているため、今後の遂行には大きな問題は無いと思われる。
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Causes of Carryover |
動物実験などのモデル作成が不安定で、データの収集に時間がかかっている。そのため学会発表、論文作成などが遅れている。
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