2016 Fiscal Year Research-status Report
脱毛を伴う抗がん剤投与中の患者に必要なスカルプケアに関するコンセプトの抽出
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16K20749
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
玉井 奈緒 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 特任講師 (80636788)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | スカルプケア / 皮膚生理機能 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度の研究目的は、これまでに変化のみられた経皮水分蒸散量(TEWL)、pH 以外の頭皮水分量や皮脂量、頭皮の炎症状態に関する実態を明らかにすることであった。 研究デザインは縦断的観察研究であり、初めて抗がん剤投与を受ける早期乳癌患者を対象とした。調査時期は、①抗がん剤投与日(脱毛前のベースライン)、②脱毛開始時期である抗がん剤投与3週後、③抗がん剤種類変更時である12 週後、④抗がん剤投与終了時、⑤抗がん剤投与終了3 か月後の5 時点であった。調査は、診療録からの情報収集(年齢,身長,体重,診断名,組織型,手術の有無と術式,既往歴,家族歴,家族構成,治療内容,血液検査結果,喫煙歴,飲酒歴, 全身状態)と、問診からの情報収集(頭皮の症状,頭皮ケアの内容,ウィッグ着用時間)とし、脱毛の状態(デジタルカメラ), 頭皮の構造変化(マイクロスコープ), 皮膚バリア機能(角質水分計・油分計・経皮水分蒸散量測定器・皮膚pH 計・皮膚蛋白質測定)に関する頭皮の測定を実施した。さらに頭皮の症状がQOL に与える影響(Skindex-16、FACT-B)と頭皮の症状(VAS)に関しての質問紙を実施した。 平成28年4月から平成29年3月までに研究登録された方は、21名であり、このうち分析対象となっているのは20名である。現在20名の測定結果の解析を進めている段階である。 これまでウィッグなどのケア用品で見えなかった頭皮の生理機能を実際に測定し、明らかにした点で、非常に意義のある内容である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年3月以前にリクルートしていた患者を含めると、解析に必要な人数は十分集めることができており、順調に測定や調査も進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
解析結果から、頭皮の生理機能の変化を抽出し、そのメカニズムを検討しつつ、スカルプケアに必要なケア製品の検討・開発を行っていく。
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Causes of Carryover |
当初予定していた、頭皮油分・マイボーム腺測定装置が借用できたため、その分の経費がかからなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
頭皮の炎症評価のためのタンパク質測定(Skin Blotting法)に使用する抗体・試薬が予定以上に費用がかかり、約2/3がまだ染色途中となっている。繰り越し分に関しては、現在採取したタンパク質測定・染色費用に充てる予定である。
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Research Products
(1 results)