2017 Fiscal Year Research-status Report
脱毛を伴う抗がん剤投与中の患者に必要なスカルプケアに関するコンセプトの抽出
Project/Area Number |
16K20749
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
玉井 奈緒 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 特任講師 (80636788)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | スカルプケア / 皮膚生理機能 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究目的は①頭皮の症状の出現が最も多い時期である抗癌剤投与13週前後における、頭皮生理機能の実態を明らかにすること。②頭皮生理機能の変化を縦断的(開始前、3s3週後、13週後、投与終了時、投与3か月後)に調査し、症状の変化との因果関係を明らかにすること。スカルプケアに必要な要素を導き出すことであった。 対象者は、転移のない初めて抗癌剤治療を受ける乳癌患者であり、タキサン系あるいはアンスラサイクリン系抗癌剤を投与予定の患者とした。脱毛状態、頭皮の症状、皮膚バリア機能を評価した。 以前よりリクルートしていた患者を含め、解析可能な対象者は50名となった。結果①:全員がCTCAEでGrade2の脱毛であった。また、症状として頭皮の痛み3名(6%)、痒み11名(22%)、頭皮の発赤30名(60%)、発疹6名(12%)、びらん1名(2%)がみられ、特に頭皮の発赤を有する患者が多かった。皮膚生理機能では、TEWLの平均値が5.0g/cm2/hであり、一般的な値より低下していた。結果②:症状としては、痛み痒みとも3週後に最も多かった(54%、50%)。客観的症状としては、発赤・発疹ともに3週後と13週後に多くみられた(60%)。一方で、皮膚バリア機能は、5時点においてTEWL、皮膚pHともに有意差がみられ、いずれも抗癌剤投与終了時に最も低下していた。 つまり抗がん剤投与によって、頭皮の症状が出現し、頭皮生理機能も時間経過とともに変化していることが明らかとなった。治療中の頭皮を健やかに保つために発赤の軽減、生理機能の正常化が必要である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
以前リクルートしていた患者も含めて、必要な解析が実施できた。
|
Strategy for Future Research Activity |
スカルプケアとして、生理機能改善のためのスキンケアと発赤を改善するためのウィッグ等医療用具の改善の2点が挙げられる。生理機能の改善のためのスキンケアを構築するためには、まず頭皮の組織がどのように変化しているかを理解することが必要であるため、動物実験を追加する必要がある。またウィッグの改善については、工学系とも協力し合い、頭部の動きと皮膚との摩擦の関係についても検証し、必要なコンセプトを挙げることを目標とする。
|
Causes of Carryover |
概ね予定通りに使用できた。 次年度使用額は3,111円であるため、ウィッグ作成や評価項目に必要となる物品の購入に追加する予定である。
|
Research Products
(2 results)